特殊形状土嚢を用いた越流許容型ため池堤体の耐侵食性能

タイトル 特殊形状土嚢を用いた越流許容型ため池堤体の耐侵食性能
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2006~2007
研究担当者 後藤眞宏
松島健一
堀俊和
毛利栄征
有吉 充
発行年度 2007
要約  引張り補強材が連結した扁平状の大型土嚢を用いて構築する越流許容型ため池堤体は、越流水深30 cm、越流継続時間6時間に対して、十分な耐侵食性を有する。また、これを上回る突発的な越水に対しても侵食の発達速度が遅く、決壊の回避対策に有効である。
キーワード 越流、減災、ため池、土嚢、豪雨
背景・ねらい  農業用ため池は、地域の貴重な水資源となっており、その安全性の確保と維持管理は地域社会の防災機能を向上する上で極めて重要な課題である。自然災害(豪雨・地震)のうち、堤体に深刻なダメージを与える越水現象に対する引張り補強材が連結した扁平状の大型土嚢を積層した越流許容型ため池堤体の耐侵食性を評価し、その有効性を検証する。
成果の内容・特徴  決壊したため池の被害実態調査結果によると、ため池は集水面積が小さいため越水は極めて短時間に集中して起こる。そのため、本条件では数時間程度の越水を設定し、それに対する堤体下流斜面の耐侵食性を評価する。本越流許容型ため池堤体は引張り補強材(テールとウィング)を連結した扁平状の大型土嚢が堤体斜面に積層した構造となっている(図1)。以下に実物大の越流実験から得られた耐侵食性能を挙げる。
  1. 越流水深と損傷度の関係を図2に示す。越流水深23.8cm以下(図2a)では無損傷である。通水時間6時間で越流水深23.8~32.3 cm以下(図2b)では、軽微な損傷が表れるものの、十分な耐侵食性を有している。写真1aに越流水深が32.3 cm(単位幅流量0.348m3/s/m)時の下流斜面の状況を示す。
  2. 堤体斜面部に土嚢を用いることによって中詰め材が拘束されているため、越流水による侵食は少ない。
  3. しかし、土嚢が破断するような落下流が発生する場合(写真1b(単位幅流量0.652 m3/s/m)、 図2c)、斜面の侵食の発達速度が急激に早まる。ただし、土だけの無対策の堤体のような突発的な決壊現象(写真2)は表れず、侵食の進行が遅いため破堤に至るまでに比較的長い時間を要する。
  4. 発生する可能性が少ない突発的な大洪水が発生し、下流斜面部の土嚢が大きく侵食される場合でも堤体内に土嚢に接続したテール(補強材)が残存しているため、堤体の構造的安定性が十分保たれる(写真3)。
  5. 以上のことから、本堤体構造は越流水深30cmで、 越流継続時間6時間という耐侵食性能を有している。
成果の活用面・留意点
  1. 引張り補強材が連結した扁平状の大型土嚢を積層した堤体構造は越流水による侵食防止対策として有効で、ため池堤体のほか貯水機能を有する土構造物に適用できる。
  2. 堤体が土嚢や引張り補強材により補強されるので、急勾配のため池を築堤することができ、傾斜地や土地の制約条件がある地域に対応できる。
  3. 紫外線などによる土嚢材の劣化対策(覆土や植生保護)について別途検討が必要となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010018672
カテゴリ 傾斜地

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