農業水路等のコンクリートにおけるCA法を用いた水分浸透モデル

タイトル 農業水路等のコンクリートにおけるCA法を用いた水分浸透モデル
担当機関 (独)農業工学研究所
研究課題名
研究期間 2002~2004
研究担当者 渡嘉敷勝
増川 晋
森 充広
長束 勇(現島根大学)
石村英明(現北陸農政局)
発行年度 2005
要約 コンクリート多孔質体中における水分の毛管浸透現象を再現するセルオートマトン(CA)法を用いた2次元浸透モデルを構築した。このモデルに多孔質体の細孔径分布を入力することにより、毛管浸透過程の再現が可能となる。
キーワード
多孔質体、毛管浸透、セルオートマトン(CA)、細孔径分布
背景・ねらい 構造材料としてのコンクリートの劣化には、一般に水が関与しているとされ、コンクリート等の多孔質体では材料の浸透性が劣化の程度を支配すると言われている。水は、コンクリートの間隙やひび割れ面から浸透し、鉄筋の腐食、セメントペースト成分の溶解、凍害、漏水等を生じさせる。ここでは、毛管浸透現象に着目し、毛管作用による気液界面の圧力低下を駆動力とした2次元浸透モデルを開発した。
成果の内容・特徴
  1. 対象領域を2次元正方格子セルで分割した後に、各セルを固相セルと空隙相セルに分け、各空隙相セルに管径等の情報を持たせた。そして、浸透前線セルの気液界面に生じる圧力低下量のより大きなセルへ浸透が進むとしたモデルを開発した。モデルは、実測細孔径分布を容積率に変換して入力可能とし、また、対象領域中にクラックおよび遷移帯(骨材とセメントペーストとの界面に生じる空隙量の大きな部分)を導入したシミュレーションも可能とした。
  2. モデルの空隙相セルの管径として[0,1]の乱数を与え、空隙率(空隙相セル数/全セル数)を0.1~0.9まで0.1刻みで変化させた場合の浸透率(飽和セル数/空隙相セル数)との関係では、空隙率0.4において浸透率の変動幅が大きく、セル間の連続性が生じたり、破れたりしていることが示され、空隙率0.4近傍に浸透閾値が存在すると推測された(図1)。
  3. セル数Lと浸透率の関係では、対象領域のセル分割数を増加させ、セル数Lを10~500まで変化させるに従い浸透率が低下する傾向が見られ、セル数の増加に伴う浸透閾値の増加が関与していると推測された(図2)。
  4. クラックモデルでは、2種のクラック幅(2μm、20nm)を与えた結果、20nmクラックではセメントペースト部分に先行して浸透したのに対し、200μmクラックでは、セメントペースト部分の浸透が先行するなど、クラック幅の相違による浸透の先行と遅延の異なる挙動が再現された(図3)。
  5. 遷移帯モデルでは、遷移帯相互が接触していなくても、遷移帯間のセメントペーストを介した浸透が可能であるならば浸透が進み、遷移帯が新たな浸透前線となって、浸透領域が拡大する結果が得られた(図4)。
成果の活用面・留意点 農業水路等におけるコンクリート内部への水分浸透現象のシミュレーション手法として、本手法はクラックや遷移帯の影響を評価可能であるなど有用である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010018564
カテゴリ 凍害 トマト

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