20.低平水田地帯の水資源が持つ魚類生息域維持機能の評価法

タイトル 20.低平水田地帯の水資源が持つ魚類生息域維持機能の評価法
研究課題名
研究期間 2000~2002
研究担当者 奥島修二
久保田富次郎
高木 東
松田 周
増本隆夫
端 憲二
発行年度 2003
要約  水田地帯における生態環境、特に魚類生息域の維持機能の定量化法を示した。農業用排水路系における魚類生息域と水資源の関係が、水文指標(水路の水路幅、水深、平均流速、流速分布の時空間分布)と水路ネットワーク図により評価できる。
背景・ねらい  農業用水と農業は、生産活動を通じて生態系の保全に資するという水資源維持機能を有している。また、多様な生態系の保全をはじめとする健全な水資源の維持・保全は、地域の活性化につながる可能性を持つ。それらの因果関係を明らかにするためには、特に農村地域の流水環境によって維持されている生態系の特質およびその流水環境との関係を解明することが重要である。
 ここでは、農村地域の用排水路系において流量、流速等の水文要素を把握し、そこで維持されている魚類の生息実態を解明するとともに、それらの成果を踏まえて水文要素を指標とした水資源の評価手法を開発した。特に、低平水田農業地域の水資源が持つ魚類生息域の維持機能を各種水文指標や水路ネットワーク図により評価する方法を示した。
成果の内容・特徴
  1.  「河川本川-幹線用水路-支線用水路-(圃場)-支線排水路-幹線排水路(排水河川)-河川」の連続性を考慮した水文特性および魚類生息域に関する調査を3カ年(灌漑期・非灌漑期)行い、接続河川と農業用排水路における魚類の棲み分けの実態について明らかにした(表1、図2)。また、用排水路の魚類は接続河川と比較すると、農業用排水路システムが稚魚を含む小型魚類の生息域として重要な役割を果たしていることが分かった(表1参考)。さらに、植生の有無による流速分布が魚類の生息と深く関わることも明らかになった。
     
  2.  用排水路や河川からなる水路網の図示に用いる記号群、並びにその分類評価基準を示すとともに、接続性および水路構成要素(ユニット特性)から連続水路系を評価し、灌漑期・非灌漑期を通じた用排水路網評価図を作成した(図3:灌漑期用)。
  3.  流域や水路系における魚類生息域と水文特性を結びつける水文指標を考案した(図1)。本指標は、魚類の存在可能性をポテンシャルとして評価するためのもので、灌漑期・非灌漑期における水深等の各水文要素の時系列分布と水路系の繋がりや水路断面内の流速分布等の空間分布により決まる。さらに、この指標ならびに接続・環境指標を加味した評価結果(用排水路色分け部分:図3)と調査結果(表1)の比較により、指標がうまく実態を表していることが分かった。

成果の活用面・留意点
 評価法の適用を行った地区は茨城県小貝川福岡堰受益地で、土地利用は水田主体で流域内には3,000haの農地が広がっている。



URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010018457
カテゴリ 水田 評価基準 評価法

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