広域の地下構造を概査するための電磁法探査システム

タイトル 広域の地下構造を概査するための電磁法探査システム
担当機関 農業工学研究所
研究課題名
研究期間 1994~1996
研究担当者 竹内睦雄
中里裕臣
発行年度 1997
要約 大地と電磁波の電磁応答を測定し地下構造を推定する電磁法は,大地と非接触で探査が可能なため,広域地盤調査に適している。そこで,10周波数の送受信電磁波を設定して現場適用性を増し,直交2成分受信アンテナを用いることで送受信器間のケーブルを不要として作業効率を向上させた新しい電磁法探査システムを開発した。
背景・ねらい  農業用ダム等の建設や近年多発している地震,地すべりなどの地盤災害の防止・軽減に当たっては,広域の地質構造を把握する必要がある。本研究では広域地盤調査法として,測定が簡便な電磁法(ループ・ループ法電磁探査)に着目し,従来の探査法に比べ現場適用性・作業効率を大幅に向上させた新しい探査システムを開発する。
成果の内容・特徴
  1.  一般的なループ・ループ法電磁探査では,送信アンテナにより発射された電磁波によって誘導される1次磁場と大地との電磁応答によって誘導される2次磁場を個別に測定し,地下地質構造を推定する。本研究では受信器に直交2成分のアンテナを用いることにより,1次,2次磁場の合成磁場を測定する装置を開発し,従来受信アンテナにおける1次磁場をキャンセルするために必要とされていた送受信器間のケーブルを不要とした(図-1)。
  2.  楕円軌道を描く合成磁場は,送受信器間隔一定の場合周波数の増加に対し,伏角は小→大,楕円率は小→大→小という変化を示す。開発した装置では送受信器間隔100mまでこの関係が認められる(図-2)。送信出力とアンテナサイズの制限から最大送受信器間隔は約100mであり,本装置の解析探査深度は送受信器間隔の約1/2であることから,最大探査深度は約50mとなる。探査目的及び測線状況に応じて送受信器間隔は10m~100mの間で任意とすることができる。送信周波数は10周波数で,従来の単一もしくは数周波数の測定器に比べ,深度方向の探査精度を向上させるとともに低比抵抗から高比抵抗の地盤までの探査を行うことができる。
  3.  水平層構造地盤,低比抵抗異常地盤,高比抵抗異常地盤等において,装置の適用実験を行い,送受信器間隔及び周波数を一定として移動測定した場合の比抵抗異常に対する測定値(合成磁場の伏角と楕円率)の変化を検討した。その結果,低比抵抗異常に対して伏角は正のピーク,楕円率は負のピークを示し,高比抵抗異常に対しては逆の変化を示した。水平層構造地盤では本装置により電気探査による比抵抗値に調和的な見かけ比抵抗値を得ることができた(図-3)。
成果の活用面・留意点  開発した探査システムでは送受信器が独立して移動が可能なため,地形や障害物に左右されず迅速に広域の地下探査が可能であり,山間地・傾斜地等の広域地盤調査法として活用が期待される。面的な探査では,測定地点の位置情報をGPSシステムによって得ることにより移動測定時の能率がさらに向上する。現在,探査結果について2層構造を仮定した1次元逆解析を行っているが,多層構造を仮定した1次元解析や2次元逆解析法の開発が今後の課題である。
 なお,本装置は特許出願中である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010018253
カテゴリ 傾斜地 GPS

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