カメムシ類とその天敵寄生蜂の交信物質の解明

タイトル カメムシ類とその天敵寄生蜂の交信物質の解明
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究課題名
研究期間 1994~1996
研究担当者
発行年度 1994
要約 ホソヘリカメムシ雄成虫が摂食時に放出する集合フェロモンについては探索、同定、化学合成、野外における捕穫試験などを行ったところ、当該フェロモンは成虫のみならず、2齢幼虫ならびに寄生蜂を誘引することが明らかにされ、化学生態学上の新知見が得られた。
背景・ねらい ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)の集合フェロモンは10年前から知られていたが、種類が多く、カメムシが忌避する成分も混在していたため同定が困難であった。
本研究は、当該集合フェロモンがガスクロマトグラフィー直結触角電位検出器(GC-EAD)を用いて探索する過程で、雄成虫が放出するフェロモンに雄・雌成虫だけでなく、2齢幼虫やホソヘリカメムシの天敵である寄生蜂(カメムシタマゴトビコバチ、Ooencyrtus nezarae)も誘引されるという興味ある現象を観察したので、同物質の同定、化学合成、野外におけるトラップ試験などを行い、カメムシの成虫および幼虫間、カメムシ一寄生蜂間の交信物質の特性解明を行う。
成果の内容・特徴
  1. GC-EAD、ガスクロマトグラフ質量分析計、ガスクロ直結フーリエ変換赤外吸収分析装置を用いて、ガスクロ応答ならびに触角応答から雄成虫の放出する4つの物質を同定した
    (図1)。
    そのうち3成分(II~IV)は、雄成虫が摂食時のみに放出することが明らかになった。
  2. 野外における合成品の誘引効果は、成虫10匹分に相当し、また、寄生蜂に対しても強い誘引効果を示した(図2、3)。
    この現象は、カメムシ卵への当該蜂の寄生率が、卵単独よりも成虫が存在する場合に高い結果と良く一致する。
  3. 合成フェロモンは、ホソヘリカメムシの2齢幼虫をも誘引した(図2)。
    当該カメムシは寄生植物(主にマメ科植物)以外にも産卵するので、集合フェロモンが摂食行動を開始する前の2齢幼虫に餌植物への場所を示す交信物質として利用されている可能性を示唆している。
成果の活用面・留意点 今回、集合フェロモンが、寄生蜂をも誘引するカイロモンとして作用する多機能性化学交信物質であることが初めて明らかにされ、昆虫の化学生態学上の新分野を拓く研究として期待される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017749
カテゴリ カメムシ 機能性 フェロモン

この記事は