「綿蚕」紡績糸による洋装用新衣料素材

タイトル 「綿蚕」紡績糸による洋装用新衣料素材
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究課題名
研究期間 1993~1993
研究担当者
発行年度 1993
要約 嵩高い新衣料素を作出すために、遺伝資源として保存されており繭糸間のセリシン膠着が弱い特殊蚕繭「綿蚕」の繭層を用いて、セリシンを除去することなく開繭して製造した絹綿及び絹紡績糸ガラ紡糸の製造法を確立し、洋装衣料素材を作出した。
背景・ねらい 従来の絹紡績糸は選除繭や製糸残糸などを腐化精錬したものを原料
としたため、精錬時の悪臭等作業環境の劣悪さと紡績糸の品質や製
品性能に問題の生じることが多かった。蚕糸・昆虫農業技術研究所
が保存する遺伝資源の中には、セリシンの膠着度合いが弱く容易に
開繭できる形質の「綿蚕」品種があることから、こうした性質を利
用することにより優れた着用性能を持ち、嵩高性や柔軟性に富む洋
装用衣料素材の製造を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 保存品種の「綿蚕」系統の生繭層を精錬することなくハンドカード
    用針布で開繭し、カード(梳綿機)にかけたところ、開繭綿の繊維
    長を制御することで綿化することに成功した。開繭絹綿は繊維がよ
    く分散してネップ(塊)が少なく良好な紡績用繭層ラップ(綿)と
    なった。
    (図1)
  2. 電動式手工的カードのみによる絹綿を円筒に詰めガラ紡(和紡績)
    システムで製造した紡績糸の平均繊度は約700d(デニール)と太
    かったが、サンプルローラーガードを併用して綿化した繭層ラップ
    によるガラ紡糸の平均繊度は300d下
    (図2)となり、繊度むらが少ない細繊度紡績糸が得られた。
  3. 「綿蚕」紡績糸から作出した織物を精錬すると繭糸表面のセリシン
    がほどよく取り除かれ、糸間の内部空隙が増大して柔軟性に富み優
    れた光沢のある織物が得られた。「綿蚕」ガラ紡糸から製造したブ
    ラウス地の見掛けの比重および剛軟度は、対照区より小さく、膨ら
    みと柔軟性に富む織物となった
    (表1)。試作した婦人用ブラウスは仕立て易く、雅趣に富んだものとなっ
    た。
    (図3)
成果の活用面・留意点 ベスト、キュロット、作務衣等しゃれた実用着に応用出来る。また
、「綿蚕」絹綿はフトン綿として最適であるとの評価も得ている。
しかし、これには大量飼育向き品質の普及が必要となる。今後、混
紡用紡績糸を製造するのに最適な開繭方法を検討しながら洋装用の
新衣料素材を製造する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017715
カテゴリ 遺伝資源 品種

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