タイトル |
消化性に優れる極晩生ソルゴー型ソルガム新品種「東山交29号」 |
担当機関 |
長野県畜産試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
2000~2006 |
研究担当者 |
高井智之
春日重光
原 拓夫
海内裕和
宮坂幸弘
後藤和美
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発行年度 |
2006 |
要約 |
飼料用ソルガム「東山交29号」は、高消化性遺伝子を有するために高消化・高嗜好で、倒伏に強い極晩生ソルゴー型品種である。
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キーワード |
ソルガム、サイレージ、品種、飼料、極晩生、高品質、飼料作物育種
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背景・ねらい |
ソルガムでは、高消化性遺伝子を利用することで品質(消化性・採食性)の改善が可能で、これまでに「葉月」および「秋立」が育成されている。また、ソルガムでは、特定の組合せで晩秋になっても出穂に至らない極晩生タイプがあり、このタイプとして「風立」および「天高」が育成され、とくに「風立」は倒伏に強いことから広く普及している。そこで、極晩生系統に高消化性遺伝子を導入することで、極晩生で高品質な新品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「東山交29号」は細胞質雄性不稔系統「JN-MS-5A」を種子親とし、自殖系統「JN358」を花粉親とした単交雑一代雑種である。
- 「東山交29号」は、高消化性遺伝子bmr-18を持つソルゴー型ソルガムで、「風立」と同様に寒冷地では秋になっても出穂に至らない。早晩性は極晩生である(表1)。
- 茎葉部の細胞壁物質(OCW)に対する低消化性繊維区分(Ob)の割合(Ob/OCW)は「風立」より低く、「秋立」並である。また、サイレージの発酵品質は良好で、その嗜好性は「風立」より優れ、「秋立」よりやや劣る(表1)。
- 試験期間中の平均乾物収量は「風立」対比93%、「秋立」対比105%で、bmr遺伝子を持つ系統としては多収である(図1、表1)。
- 耐倒伏性は、乾物収量が同程度の導入品種より優れ、極強の「風立」並である(図2、表1)。
- すす紋病抵抗性、紋枯病抵抗性および条斑細菌病抵抗性は「風立」、「秋立」並である(表1)。紫斑点病には感受性で、その発病程度は「風立」、「秋立」並で、判定は「弱」である(表1)。
- アブラムシの発生程度は「風立」よりやや多く、「秋立」並である(表1)。ヨトウムシよる被害程度は「秋立」より少なく、「風立」並である(表1)。
- 平均発芽期は、「風立」、「秋立」より1日遅い。初期生育は「風立」、「秋立」並で、草丈は「風立」より高く、稈径は「風立」並で、「秋立」より太い(表1)。
- 実収量のF1精選種子重は2場所平均で12.1kg/aである(表1)。採種栽培では花粉親を1~2週間程度晩播することにより両親の開花期がほぼ合致する。
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成果の活用面・留意点 |
- 寒冷地南部から中部地域の標高1000m以下の地域を適地とする。普及見込み面積は1,000ha(ソルガムの全栽培面積の5%)である。
- 平均気温15℃以上の範囲で早播きする。栽植密度は16670~33330本/10a程度とし、播種量は0.7~1.5kg/10aとする。干ばつ時の播種は避ける。紫斑点病多発地帯での栽培は避ける。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017642 |
カテゴリ |
育種
飼料作物
飼料用作物
新品種
ソルガム
抵抗性
播種
品種
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