泌乳中・後期の乳量改良を最大の確率で実現する選抜指数式

タイトル 泌乳中・後期の乳量改良を最大の確率で実現する選抜指数式
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2003~2004
研究担当者 富樫研治
C.Y.Lin(カナダゲルフ大学)
西浦明子
武田尚人
発行年度 2003
要約 本選抜指数式は、意図された泌乳中・後期の乳量改良量を最大の確率で実現するために必要な各ステージ乳量育種価に対する重みづけ係数を求めることができる。
キーワード 乳用牛、選抜指数法、泌乳曲線、泌乳ステージ、家畜育種
背景・ねらい
泌乳前期の乳量増加は周産期病等の疾病多発、繁殖性低下を導きやすい。従来の305日乳量のみの改良に比べ305日乳量を高めながらかつ泌乳曲線も改良するためには、強い選抜が必要となる。泌乳中・後期(例:61-280日)に一定量(例:100 kg)を上げるとしても、全体の乳量増加が100kgと同じでも、その上げ方は、その泌乳中・後期のいつどれだけ上げるかで無数にある。そこで、その無数にある上げ方の中から、泌乳中・後期の乳量増加を最大の確率で実現するものを選ぶ必要がある。また、我が国の遺伝パラメータを用いて泌乳中・後期の乳量改良を達成する選抜指数式が開発される必要がある。
成果の内容・特徴 1.
泌乳曲線のp次までのLegendre多項式回帰係数を変量効果として扱う検査日乳量モデルにおいて、それらの回帰係数の遺伝分散、回帰係数間の共分散をもとに泌乳ステージ毎の目標乳量を最大の確率で実現する選抜指数式が式1で作成される。なお、本指数式は、従来の表型値をもとにした指数式でなく、より正確な選抜をおこなうため前、中、後期の乳量育種価をもとにしている。
2.
1996年から2000年に初産分娩した全国検定牛のうち同じ検定日に同期牛が10頭以上おり、かつ305日乳量記録をもつ30025頭の検査日乳量179271記録をもとにしてLegendre多項式回帰係数の遺伝分散、回帰係数間の共分散をgibbs-sampling法により推定した。分娩後日数にともなう乳量の遺伝率は、泌乳前期に比べ中・後期に高く、中・後期の乳量改良に十分な大きさの遺伝率をもつ(表1)。
3.
開発された手法の例として、乳期を5-60-280-305日の3期に分け、泌乳前期(5-60日)の改良量を0にし、泌乳中・後期(61-280日)に100kgの増加、泌乳末期(281-305日)は改良量を0にした選抜指数式(I*)を示す。をLegendre多項式の0,1,2,3,4次項として
I*=-0.03650α0-0.07920α1 -1.23877α2-0.48588α3-0.42134α4と示される。
I*は、Legendre多項式をもとにしているが、同じ改良を実現する各ステージの育種価を変数にした選抜指数式(I)は、iステージの育種価をGi(i=1は前期、2は中・後期、3は末期)とし、
 I= -0. 64131G1+ 0. 40119G2 -2.09189G3と示される。
なお、ステージ毎の与えられた同じ改良乳量を達成する従来型選抜指数式(平成14年度、成果79)の標準選抜差は2.377だが、開発式により与えられたステージ改良乳量を達成するための標準選抜差は0.633と大幅に小さくなり、より高い確率で中・後期の乳量改良を実現できることを示している。
成果の活用面・留意点 1.
例で示した選抜指数式は、ステージ別改良乳量を泌乳前期0kg、泌乳中・後期100kg、泌乳末期0kgとしたが、ステージ別改良乳量は、牛群毎の改良目標に応じて設定できる。
2.
同じ改良量をより小さな選抜差でできることより、今まで選抜をかけにくかった雌牛側からの改良も期待できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017380
カテゴリ 育種 繁殖性改善

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