放牧哺乳子牛への保護油脂給与時には生草摂取量の低下に注意を要する

タイトル 放牧哺乳子牛への保護油脂給与時には生草摂取量の低下に注意を要する
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2001~2003
研究担当者 林義朗
山口学
木戸恭子
発行年度 2002
要約 黒毛和種哺乳子牛のケンタッキーブルーグラス(KB)主体草地での放牧草乾物摂取量は生後10週齢以降急速に増加する。その際、別飼い飼料に脂肪酸カルシウム(CSFA)を8~12%添加すると生草摂取量が69~80%に抑制され、6~8%添加ではエネルギー補給効果が損なわれることがある。
キーワード ケンタッキーブルーグラス、黒毛和種、哺乳子牛、放牧草、脂肪酸カルシウム
背景・ねらい
高冷地に存する短草型のケンタッキーブルーグラス(KB)主体草地を活用し放牧による効率的な肉用牛子牛生産を行うには別飼い飼料による栄養補給が不可欠である。また、肉用牛に対して保護油脂の給与はエネルギー補給に有効とされているが、放牧時の哺乳子牛の発育改善効果については放牧条件等により再現性が低くなることがあり、飼料摂取および飼料利用性への影響から給与上の注意点を明確にする必要がある。
成果の内容・特徴
1.
黒毛和種人工哺乳子牛(5月下旬生まれ,雄)に別飼い飼料を6週齢時から体重の0.8%給与、生草をケンタッキーブルーグラス(KB)主体の放牧地から刈り取り給与すると生草乾物摂取量は10週齢以降急激に増加し、11~19週齢(試験1)と11~16週齢(試験2)までの平均で体重1kg当たり5.6g(試験1)および10g(試験2)に到達する(図1)。それに対し、脂肪酸カルシウム(CSFA)を12%(試験1)および8%(試験2)配合した別飼い飼料では10週齢以降の生草摂取量は無添加の69~80%に抑制される。
2.
NDF消化率は生草摂取水準を反映し11週齢以降の平均で試験1が70.0%、試験2が53.2%と差がある(図2)。一方、CSFA添加による繊維消化への影響は認められない。OMおよびCP消化率はCSFA添加により上昇する傾向を示す。
3.
刈り取り給与草の成分は乾物当たり粗タンパク質(CP)16~23%、中性デタージェント繊維(NDF)50~60%であり放牧草と差がなく、生草摂取および繊維消化に対するCSFA添加の影響に関しては舎飼い人工哺乳子牛と放牧哺乳子牛でほぼ同様と考えられる。
4.
放牧哺乳子牛の増体日量(DG)はCSFA12%添加で11週齢以降やや改善されるが、6~8%ではCSFA添加の効果が認められない(表1)。これは、CSFAによるエネルギー補給がKB主体草地では生草摂取量の低下により相殺されるためである。従って、別飼い飼料へのCSFA添加は低エネルギー摂取水準による発育停滞が明らかで、さらに放牧草からのエネルギー摂取割合が低い場合が適切と考えられる。
成果の活用面・留意点
1.
主にKBなど高消化性の草種の放牧利用で適用される注意点である。
2.
舎飼い飼養ではCSFA添加の影響を乾草摂取量から判断できる。
3.
生草摂取水準が安定する時期(4,5ヶ月齢)以降の影響は小さくなる可能性がある。
4.
子牛の生草摂取量低下のメカニズムが採食量調節機構と第1胃機能への影響の点から個別に解明されればさらにCSFAの給与基準が明確になる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017298
カテゴリ さやいんげん 飼料利用性 肉牛

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