加工処理による穀物のアレルゲンを含む蛋白質の除去技術

タイトル 加工処理による穀物のアレルゲンを含む蛋白質の除去技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究課題名
研究期間 2004~2007
研究担当者 矢野裕之
黒田秧
竹内正彦(長野農工研)
西澤賢一(長野農工研)
岡澤由晃(長野興農)
田口計哉(長野興農)
発行年度 2007
要約  穀物粉に加水、加熱して糊化させ、アミラーゼ処理して得られた糖化液に含まれる蛋白質は、低速・短時間の遠心だけで白濁物として沈殿し、除去できる。上清には蛋白質・アレルゲンが含まれず、ブドウ糖、麦芽糖などに富んだ栄養成分が回収される。
キーワード 穀物、アレルゲン、蛋白質、糊化、アミラーゼ、糖化液、食品加工
背景・ねらい  穀粒および穀物由来の食品に含まれるアレルゲンは、アレルギー患者にアトピー性皮膚炎やアナフィラキシー等の重篤な症状を引き起こすことがある。また、腎臓病患者の栄養補給剤として蛋白質が低減した食品の開発が求められている。食品素材として用いられる米、小麦、大豆等の主要な穀物の低アレルゲン・低蛋白化は重要な研究課題であり、簡便で安全な実用技術の開発が求められている。アレルゲンには多くの蛋白質が原因となっているため、育種による蛋白質の低減化にも限界がある。そこで、加工処理により穀物に含まれる蛋白質のほとんどを一度に低減するための効果的な技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 穀粒またはその粉末に加水して糊化温度以上に加熱すると、ほとんどの蛋白質が不溶性成分に吸着する。
  2. 糊化後にホモジナイザーで撹拌下、アミラーゼを添加して糖化させると、アレルゲンを含む蛋白質は不溶性成分に吸着したまま糖化液中を白濁物として浮遊する。糖化液を遠心すると、白濁物は沈殿する(図1)。上清には、アレルゲンをほとんど含まず、ブドウ糖、麦芽糖などの栄養成分に富んだ溶液が回収される(図2)。
  3. 糊化物に対して、アミラーゼとプロテアーゼを同時に処理して遠心することにより、アレルゲン・蛋白質フリーの糖類・アミノ酸に富んだ液(上清)を製造することができる。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は米、小麦、そば、大豆等の穀物に広く応用できる。
  2. 100G、10分程度の低速・短時間の遠心処理ですべての蛋白質を十分に除去した上清画分を得ることができる。特別な機器・溶媒を必要とせず、低コストで安全かつ簡便に穀物中のアレルゲン・蛋白質を除去できる新しい加工処理技術である。
  3. 低アレルゲン・低蛋白質食品素材の製造技術の一つとして食品加工分野において広範な利用が期待できる。
  4. アレルギー患者・腎臓病患者をはじめ乳幼児、高齢者の栄養補給飲料の製造等、医薬分野への応用が期待できる。特に米を原料とした糖化液には、抗ピロリ菌作用が報告されている(既報:平成18年度産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業(農林水産省事業))ことから、アレルゲンを含まない機能性食品素材の開発への応用も期待できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017123
カテゴリ 育種 加工 小麦 機能性食品 そば 大豆 低コスト

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