ビール大麦育種に有用な5種のDNAマーカーと利用上の留意点

タイトル ビール大麦育種に有用な5種のDNAマーカーと利用上の留意点
担当機関 栃木農試
研究課題名
研究期間 2006~2007
研究担当者 加藤常夫
五月女敏範
春山直人
大関美香
池田達哉(近中四農研)
長嶺敬
天谷正行(遺伝子工学研)
発行年度 2007
要約 麦芽品質に関わるリポキシゲナーゼ欠損遺伝子(lox-1)のDNAマーカーを作出するとともに、縞萎縮病抵抗性遺伝子rym5、うどんこ病抵抗性遺伝子mlo、秋播性遺伝子vrn-H1およびVrn-H2に関する既報マーカーの育種利用上の問題点を明らかにした。
キーワード オオムギ、DNAマーカー、リポキシゲナーゼ、病害抵抗性、秋播性
背景・ねらい ビール大麦育種の効率化を目的として、ビールの香味安定性、泡持ち性の改善に有効なリポキシゲナーゼ欠損特性(lox-1)に関わる DNAマーカーを開発するとともに、外国品種を用いた研究により開発された既報マーカーのうち、縞萎縮病抵抗性(rym5)、うどんこ病抵抗性(mlo)、凍霜害の回避に有用な秋播性(vrn-H1, Vrn-H2)について、日本品種の持つマーカーの遺伝子型変異を解析するとともに、マーカー選抜育種における有用性を明らかにする。

成果の内容・特徴
  1. ビールの香味安定性・泡もち性の向上に有用なリポキシゲナーゼ欠損遺伝子(lox-1)のCAPSマーカーとして、940LOXを作出した。遺伝子型の判別にはPCR産物のBsaAI処理を行う(表1)(表2)(図1)
  2. 2. 外国品種を用いた研究で縞萎縮病抵抗性遺伝子rym5に強連鎖することが報告されているE31/M41マーカーは日本のビール大麦品種・系統についてはマーカーの遺伝子型により抵抗性遺伝子の有無が判別できるが、Morexなど一部の外国品種や六条品種では抵抗性遺伝子が判別できない(表1)(表2)(図2)。
  3. 日本品種が持たないうどんこ病抵抗性遺伝子mloについては、日本品種のom2マーカー遺伝子型はDel型、In型の両方の多型がみられる。In型を示すAlexisなどからマーカーを利用してmlo遺伝子を導入するためにはDel型ハプロタイプを持つ日本品種を片親に用いる(表1)(表2)。
  4. 秋播型はvrn-H1/Vrn-H2の遺伝子型組合せとなる場合に限定されるが、日本品種の多くはvrn-H1(HvBM5Aマーカー)を持ち、Vrn-H2をもつ品種・系統は少数である(表1)(表2)。Vrn-H2遺伝子型を判別するZcct-a/bマーカーは秋播性を有する国内ビール大麦系統を的確に検出できる。
成果の活用面・留意点
  1. 現在のビール大麦育種事業においては、DNAマーカーが適用できない事例が明らかなrym5、mloについても、大半の交配組合せでは利用可能である。
  2. rym5を単独で持つ大麦は縞萎縮病Ⅲ型ウイルスに罹病する。rym3を単独でもつ大麦に罹病する栃木県北部の新ウイルス系統に対しては、rym5とrym3を併せ持つ系統が抵抗性を発現する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017114
カテゴリ 育種 萎縮病 うどんこ病 大麦 抵抗性 抵抗性遺伝子 DNAマーカー 品種 病害抵抗性

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