目的遺伝子が発現する効率的なコムギ形質転換手法

タイトル 目的遺伝子が発現する効率的なコムギ形質転換手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究課題名
研究期間 2003~2006
研究担当者 安倍史高
中村信吾
蝶野真喜子
平賀勧
金子成延
芦川育夫
渡邊好昭
久保友明
発行年度 2006
要約  遺伝子銃を用いたコムギ形質転換系において、5℃の乾燥状態で5日間登熟させた未熟胚に遺伝子導入を行い、そこから誘導されるカルスを通常の3.75倍の浸透圧条件で選抜培養することにより、目的遺伝子が発現している形質転換体を効率的に作出できる。
キーワード コムギ、形質転換、遺伝子銃、乾燥処理、高浸透圧
背景・ねらい  コムギは形質転換が非常に困難であり、形質転換を行える研究施設は世界的にも限られ、国内ではない。コムギの遺伝子機能解析を進展させるために、効率的なコムギ形質転換系の確立が求められている。コムギ形質転換系では、遺伝子銃による遺伝子導入法が多く用いられている。この方法は、遺伝子導入効率が高いという利点がある。一方、遺伝子が過剰に導入されることにより導入遺伝子の再構成が高頻度で起こり、目的とする導入遺伝子が発現しないことが常に問題となる。そこで、遺伝子銃を用いたコムギ形質転換系において、目的とする導入遺伝子が発現している形質転換体の効率的な作出手法の開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 遺伝子銃を用いたコムギ形質転換系において、図1に示すベクターを、図2に示す手順でコムギの未熟胚に遺伝子導入する実験を行い、レポーター遺伝子(GUS遺伝子)が発現している再分化植物体の得られる割合を実質的形質転換効率とする。
  2. 従来用いられていたコムギ形質転換系に対し、以下の2つの手順を改変する(図2)。すなわち、遺伝子導入に用いるコムギ未熟胚を、その登熟中に茎ごと刈り取り5℃の暗黒下で5日間立てておき、乾燥状態で冷蔵保存する(前処理)。さらに、遺伝子導入を行った未熟胚から誘導されるカルスを、通常の3.75倍である150 g/Lのマルトースを含む高浸透圧培地で選抜培養する。この改変により、従来の形質転換系に比べ、実質的形質転換効率を約7倍向上させることができる(図3)。
  3. 未熟胚への前処理の有無に関わらず、誘導カルスの高浸透圧培地での選抜培養により目的とする導入遺伝子のコピー数が抑えられる(図4)。
  4. 未熟胚への前処理と誘導カルスの高浸透圧培地での選抜培養は、それぞれ単独では実質的形質転換効率を向上させる効果はないが、両者を組み合わせることにより効率を向上させることができる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. コムギの形質転換系の確立に有用である。
  2. 前処理と高浸透圧条件の効果の検証に用いたコムギ品種は「Bobwhite」のみであり、他品種で同様に適用できるか検討が必要である。
  3. 効率的な形質転換の達成には、生育の良い健全な植物体を材料とする必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010017100
カテゴリ 乾燥 品種

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