組織再生に有用なコラーゲンビトリゲルの開発

タイトル 組織再生に有用なコラーゲンビトリゲルの開発
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2004~2005
研究担当者 竹澤俊明
二谷 綾(旭テクノグラス)
発行年度 2008
要約 熱変性タンパク質のガラス化技術を応用することで、生体内の結合組織に匹敵する高密度のコラーゲン線維で形成されるゲル(コラーゲンビトリゲルと命名)を世界に先駆けて作製した。コラーゲンビトリゲルは、上皮間充織や癌血管などの三次元培養モデルを容易に作製するための培養担体として有用であるのみならず、薬物送達システムとしても活用できることから、再生医療や創薬の研究発展に寄与する。
キーワード コラーゲン、培養担体、培養モデル、再生医療、創薬、動物実験代替法
背景・ねらい
コラーゲンゾルに生理的な塩濃度、水素イオン濃度および温度を付与してゲル化を誘導する従来のコラーゲンゲル作製技術では、低密度のコラーゲン線維で形成されるゲルしか作製できない。この低密度のコラーゲン線維のゲルは柔らかく不透明であるため、組織を再生する培養担体としては取り扱いが困難である。そこで本研究では、熱変性タンパク質のガラス化技術を従来のコラーゲンゲルに応用することで、高密度のコラーゲン線維で形成されるゲルを作製して、動物細胞の培養担体に応用することを目指す。
成果の内容・特徴 1.熱変性タンパク質のガラス化(vitification)技術を従来のコラーゲンゲルに応用した後、さらに再水和して得られるゲルでは、ガラス化の期間を長くすると体積が100分の1程度までに減少して、コラーゲン線維密度が100倍程度までに高くなる。その結果、強度、透明性およびタンパク質透過性に優れた新しい物性状態のゲルが得られる(図1)。この様なガラス化工程を経て作製できる新しい安定状態のゲルをビトリゲル(vitrigel)と命名した。
2.環状ナイロン膜の支持体付きコラーゲンビトリゲル薄膜から成る培養担体上に細胞を二次元培養した後に、ピンセットで担体を裏返して異種細胞を二次元培養することで、上皮間充織や癌血管などの三次元培養モデルを容易に作製できる(図2)。
3.神経成長因子(NGF)を産生するマウス線維芽細胞株(L929細胞)は、コラーゲンビトリゲル薄膜を介してパラクライン作用することで、NGFに応答して神経様突起を伸長するラット副腎髄質褐色細胞株(PC12細胞)の分化を誘導する(図3)。つまり、コラーゲンビトリゲル薄膜を介して、異種細胞間のパラクライン作用により標的細胞の分化を誘導する培養モデルが構築できる。
4.血管内皮増殖因子(VEGF)を含有させたコラーゲンビトリゲル薄膜は、VEGFを継続的に徐放する。また、ラット皮下へ移植したVEGF含有コラーゲンビトリゲル薄膜は、血管新生を誘導する(図4)。
成果の活用面・留意点 1.コラーゲンビトリゲルは、構成成分や形状(薄膜、管および糸など)を改変したり、他の機能性材料とハイブリッド化することで、新しい機能を伴ったバイオマテリアルに変換することができる。その結果、細胞を伴わないバイオマテリアルとして活用する応用研究と細胞培養担体として利用した培養モデルを活用する応用研究が可能となる。
2.再生医療の分野では、病変部の被覆あるいは結紮に有用であるのみならず、薬物送達システム(DDS)機能も兼ね備えたバイオマテリアルとしての応用、あるいは欠損した組織を再生させる細胞を移植するための培養担体としての応用が期待される。
3.創薬研究の分野では、低分子のみならず高分子の生理活性物質も透過・徐放できるので、薬効および毒性の評価、そのメカニズム解析、あるいはDDSなどへの応用が期待される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016895
カテゴリ 機能性 シカ

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