タイトル | 日中ゲノムデータ統合による高精度カイコゲノム塩基配列の決定 |
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担当機関 | (独)農業生物資源研究所 |
研究課題名 | |
研究期間 | 2006~2009 |
研究担当者 |
三田和英 山本公子 末次克行 門野敬子 |
発行年度 | 2008 |
要約 | イネいもち病菌のESTを35,189配列解読し、その配列を用いて4,155の遺伝子情報を詳細に決定した。解読したEST配列、決定した遺伝子座及び関連解析の結果はデータベースに格納し、ウェブサイトを通して公開している。 |
キーワード | イネいもち病菌、EST、データベース、遺伝子予測、アセンブル |
背景・ねらい |
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成果の内容・特徴 | 1.イネいもち病菌cDNAクローンを作成し(計18,821クローン)、5'および3'両端ESTの塩基配列決定を行った。解読したEST配列(計35,189配列)はDDBJを通じて国際DNAデータバンクに登録した。これにより、国際DNAデータバンクのイネいもち病菌ESTが一気に約66%も増加したことになる。特に、今回登録したESTのうち実に49.4%はデータバンク中の既存のESTに全くヒットせず、完全に新規の配列を極めて多く含むことがわかった。 2.解読したESTをゲノム配列と遺伝子予測プログラムを利用して再構成し、最終的に4,155遺伝子座を決定した。この遺伝子座に含まれるタンパク質コード領域3,891(表1)の全長性を、既知のタンパク質と比較することによって検証し、少なくとも約87%は完全長のタンパク質であるである(断片ではない)ことが示唆された。 3.コンピューターによる遺伝子予測は誤りを多く含む。そこで、ゲノム配列を公開しているBroad Instituteの遺伝子予測と比較したところ、我々が今回同定した17,639のスプライス部位のうち4,882(27.7%)は全く新規であることが明らかになった。我々のEST解析によってゲノム上の遺伝子構造が飛躍的に正確になった。 4.EST配列、構築した遺伝子座及び関連する解析結果をデータベースに格納し、ウェブサイト上(http://mg.dna.affrc.go.jp/)で公開した(図1)。すべてのデータはゲノムブラウザに統合されているため、簡単な操作で情報を検索し、遺伝子構造や機能情報を閲覧することが可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本研究のEST配列データを、すでに公開されているゲノムデータと比較することによって、正確に大量の遺伝子構造を決定することができた。 2.今回新たに解読したEST配列及び公開したデータベースは、イネいもち病菌の遺伝子の機能解明に利用されたり、あるいは他の菌類との比較ゲノム解析に利用できる。 3.今回作成したcDNAクローンは大部分がタンパク質全長を含むことから、今後の遺伝子機能解明に直接的に役立つ研究材料として活用されるものと期待される。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016892 |
カテゴリ | いもち病 カイコ データベース |
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