カイコ・エンハンサートラップ系統の開発とデータベースの構築

タイトル カイコ・エンハンサートラップ系統の開発とデータベースの構築
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2007~2011
研究担当者 三田和英
小林 功
瀬筒秀樹
田村俊樹
内野恵郎
飯塚哲也
米村真之
立松謙一郎
発行年度 2008
要約 カイコのポストゲノム研究におけるリソースの開発と利用のために、トランスポゾンを用いたエンハンサートラップ法を開発し、新規突然変異系統を多数作出した。また、エンハンサートラップ系統情報のデータベースを作成し、ゲノムデータベースと統合して公開した。
キーワード 遺伝子組換えカイコ、新規突然変異、エンハンサートラップ、データベース
背景・ねらい
カイコでは、ゲノムがほぼ完全に解読され、ポストゲノム研究における遺伝子機能解析が重要な研究課題となりつつある。体系的なリソース開発と遺伝子機能解析のためには、トランスポゾンをゲノムの様々な位置に挿入させて新規の突然変異系統を作出する方法が有効で、これにより新規遺伝子の網羅的な探索と導入遺伝子の人為的な発現制御が可能となる。本研究では、(1)カイコのエンハンサートラップ法を開発することによって多数の新規突然変異系統を作出すること、(2)これらの系統におけるGFPレポーター発現部位とゲノム挿入位置を解析することによって、新規突然変異系統データベースの構築、ゲノムデータベースとの統合を進め、公開・情報発信を行うことを目標とする。
成果の内容・特徴 1.トランスポゾンをゲノム中へランダムに転移挿入させる方法と、導入遺伝子の発現調節に有用なGAL4/UAS系と組み合わせたエンハンサートラップ系を開発し、多数の新規突然変異系統を作出した。具体的には、酵母の転写因子GAL4を持つトランスポゾンベクターを転移させて、遺伝子発現を活性化するエンハンサーにより、組織・時期特異的にGAL4を発現するエンハンサートラップ系統を数百作出した。
2.GAL4によって活性化されるUASの下流にGFPをつないだUAS-GFPをレポーターとして発現部位を観察したところ、GFPが様々に発現している系統が得られた(図1)。また、GFPのかわりに任意の遺伝子を強制発現させたり、誘導型RNAiを起こさせることが可能となった。
3.トランスポゾンベクターの挿入位置の近傍配列を決定し、ゲノムデータベースと照合することによってゲノム挿入位置を同定した。トランスポゾンベクターは、ゲノム中にほぼランダムに挿入されていることが示唆され、いくつかの系統において発現様式と近傍遺伝子を対応づけることができた。
4.GFPレポーター発現部位情報および画像と、ゲノム挿入位置情報などをまとめた新規突然変異体データベース(Bombyx Trap DataBase)を構築し、公開した。さらに、このデータベースとゲノムデータベースの統合が進められ(KAIKObase)、トランスポゾンベクターの挿入位置が染色体地図にマップされるようになった。
成果の活用面・留意点 1.エンハンサートラップ系統は挿入近傍遺伝子の発現様式を模倣すると考えられるためゲノム情報の活用により新規遺伝子探索と発現解析が可能となる。遺伝子内にトランスポゾンが挿入すれば、遺伝子機能が破壊された新しい表現型変異体が得られることが期待される。
2.中腸でGAL4を強く発現する系統が、従来の突然変異体における原因遺伝子の機能証明に用いられてPNAS 誌で発表される等、エンハンサートラップ系統の実用性が示された。
3.今後は、多数の新しい系統の作出を行って、データベースを拡充して公開し、系統を配布可能にする予定である。
カテゴリ カイコ データベース

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