トランスポゾンminosを用いた遺伝子組換えカイコ作出法

タイトル トランスポゾンminosを用いた遺伝子組換えカイコ作出法
担当機関 独立行政法人
研究課題名
研究期間 2006~2006
研究担当者 田村俊樹
米村真之
飯塚哲也
立松謙一郎
瀬筒秀樹
小林功
内野恵郎
小島桂
発行年度 2006
要約 Minos は Tc/mariner 属でゲノム中の塩基配列TTAAを認識するDNA型のトランスポゾンである。このトランスポゾンを調べた結果、遺伝子組換えカイコを作るためのベクターとして利用できることが分かった。すなわち、このトランスポゾンのベクターと転移酵素のmRNAをカイコ卵に注射した結果、多数の遺伝子組換えカイコが作出された。導入された外来遺伝子はカイコのゲノムDNA中に取り込まれ、次世代に安定して伝わった。
キーワード 遺伝子組換えカイコ、ベクター、minos、トランスポゾン
背景・ねらい カイコでは、これまでにDNA型のトランスポゾン piggyBac による組換え体の作出法が報告されている。しかしながら、piggyBac 以外のトランスポゾンでは組換えカイコは作出されていない。トランスポゾン piggyBac はTTAA属ともいわれ、ゲノム中のTTAA配列中に転移する。染色体中のTTAA配列以外の位置に外来遺伝子を挿入する場合やトランスポゾン piggyBac転移酵素遺伝子をカイコのゲノムに入れ、安定的に発現させるためには、ベクターとして用いることのできるトランスポゾンの種類を増やすことが重要である。minos は Drosophila hydei から見つかった Tc/mariner 属のトランスポゾンで、両末端に254bpの逆位末端配列を持っている。全体の大きさは約1.8Kbpで、これまでに双翅目昆虫であるショウジョウバエやカでベクターとして機能することが報告されている。我々の研究でも、minos はカイコの卵においてプラスミド間で転移し、ベクターとして機能する可能性が高いことが報告されている。
そこで、本研究ではトランスポゾン minos を用いて新しくベクターを構築し、効率よく組換えカイコを作出することができるかどうかについて検討した。
成果の内容・特徴
  1. 遺伝子組み換え体を作出するためのベクターとして、トランスポゾン minos逆位末端反復配列の間に細胞質アクチンの上流をプロモーターとするGFP遺伝子を挿入したベクターを作成した(図1)。同時に minos転移酵素遺伝子の上流に同じプロモーターを挿入したヘルパーを作成した。
  2. このベクターとヘルパーを一緒にカイコ卵に注射した結果、2系統の遺伝子組換えカイコが得られた。この場合の組換えカイコの作出効率は1%以下であり、非常に低かった。
  3. 遺伝子組換えカイコの作出効率を上げるため、in vitro で minos転移酵素のmRNAを合成し、このmRNAをヘルパーとして遺伝子組換えカイコ作出実験を行った。その結果、遺伝子組換えカイコの作出効率は飛躍的に高くなることが分かった(表1、図2)。
  4. 以上の結果からDNA型のトランスポゾン minos は遺伝子組換えカイコ作出のためのベクターとして利用できることが明らかになった。これは、minos が鱗翅目昆虫のベクターとして利用できることを示した世界で最初の実験である。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝子組換えカイコを作るための新しいベクターとして利用できる。
  2. カイコにおいて piggyBac と minos2種類のトランスポゾンがベクターとして利用で
    きるため、エンハンサートラップやジーントラップ系の開発が可能となった。
カテゴリ カイコ

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