カイコにおけるアミノ酸生合成の調節機構の解明

タイトル カイコにおけるアミノ酸生合成の調節機構の解明
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2001~2005
研究担当者 黄川田隆洋
中村匡利
平山 力
発行年度 2002
要約 カイコの幼虫期におけるアミノ酸生合成系の代謝速度はグルタミン酸合成酵素(GOGAT)の活性によりコントロールされている。GOGAT自身は幼若ホルモンにより発現制御を受けていることが示唆された。
キーワード アミノ酸生合成、グルタミン酸合成酵素、カイコ、絹糸タンパク質、幼若ホルモン、キーエンザイム
背景・ねらい 終齢期(5齢期)のカイコ幼虫においては、原料となるアミノ酸の合成量が急激に増大することにより絹糸タンパク質の合成が滞りなく行われるようになっている。しかし、遺伝子組換え技術を用いてカイコに有用タンパク質を効率よく生産させようとした場合には、アミノ酸の生合成能力をさらに強化させる必要がある。本研究では、カイコにおけるアミノ酸生合成系の代謝を人為的に制御する技術の開発を目的として、アミノ酸生合成経路で重要な役割を担うキーエンザイムの探索とその活性調節機構の解析を行った。
成果の内容・特徴
  1. アミノ酸新生合成経路の諸酵素の活性を、発育を追って調査したところ、グルタミンがグルタミン酸に転換されるステップを触媒するグルタミン酸合成酵素(GOGAT)だけが終齢期に急激な増加を示した(図1A)。また、GOGATタンパク質の発現量の変化は活性の変動パターンと一致した(図1B)。
  2. カイコのグルタミンのプールは、GOGATの活性の変動に連動して変化した。一方、GOGAT以外のグルタミン代謝酵素の活性は極めて微弱で、発育ステージを通じてほとんど変化がなかった。
  3. 終齢期のカイコに幼若ホルモン活性物質(JH)を投与すると、体内のグルタミンプールが急激に増加し(図2A)、アミノ酸の生合成が抑制された。また、JHによりGOGATタンパク質の発現が強く抑制されることがわかった(図2B)。
以上の結果から、GOGATがアミノ酸生合成経路のキーエンザイムであり、本酵素タンパク質の発現変動によって代謝系全体の代謝速度の調節が行われていることが明らかになった。また、GOGAT自身は幼若ホルモンによって発現が制御されていることが示唆された。
    成果の活用面・留意点
    1. GOGAT活性の人為的制御によりアミノ酸の生合成量を増加させることが可能となり、有用タンパク質の生産効率の向上が期待される。
    2. GOGATは昆虫などの無脊椎動物に特異的に存在しているので、アミノ酸生合成を作用点として新規農薬を開発する際の標的酵素としても有望と考えられる。
    URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016774
    カテゴリ カイコ 新規農薬

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