北パキスタンのイネ品種にみられる生態的分化

タイトル 北パキスタンのイネ品種にみられる生態的分化
担当機関 農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者
発行年度 1994
要約  北パキスタンで収集したイネ在来品種の多様性を明らかにした。北パキスタンにおけるイネの栽培品種は標高によって粒型やアイソザイムのパターンに地理的傾斜があり、山岳地域の生態的特性を反映した変異を示す。バスマティ品種のアイソザイムの泳動像型は、典型的なインディカとは異なる。山岳地で栽培されている短粒の在来品種は、種子や発芽に関係する特性が分化している。北パキスタンのイネ品種には、生態的分化が見られた。
背景・ねらい  イネはパキスタンにおける主要な作物の一つで、全耕地面積の約10%を占めている。稲作地域は、標高0mのシンド州のインダスデルタ地帯から標高2000mを超す北パキスタンの山岳地に広がっており、地理的にも気象的にも多様な地域でイネが栽培されている。特に、パキスタン北部の山岳地帯では、現在も在来品種が栽培されつづけており、これらの特性を解析してパキスタンにおけるイネ品種の変異と分化の様相を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1.  品種の分布は標高によって異なり、粒型・胚乳のアミロース含量やエステラーゼアイソザイムの分布に地理的傾斜がある(表1)。
  2.  良食味米のバスマティ品種を小規模に栽培する農家が多い。標高150mから1850mの範囲で49点のバスマティ品種を収集した。地域によって呼称は異なるが、ほとんどが籾長幅比3.0以上の長粒品種である。芒の有無やふ先色などに違いが見られ、到穂日数における変異が大きい。アイソザイムの泳動像型は典型的なインディカとは異なりジャポニカに一般的な6型が多い。Est. 3Fのバンドを持つ品種は標高400m以下の地域に分布していた(図1)。
  3.  標高2000m前後のチトラール地方では、草型の似た2つの短粒在来品種が栽培されている。これらは、移植と直播栽培に対応して区別され、種子や発芽に関係する形質に明瞭な違いがある(表2)。
  4.  パキスタン北部で栽培されているイネ在来品種は、標高や栽培法に対応した変異を示した。さらに、典型的な品種群とは異なる特性の品種も栽培されており、多様な変異を持った品種が分化している地域である。
成果の活用面・留意点  評価・増殖した種子は、遺伝資源管理貯蔵施設で配布用として保存している。高冷地での栽培に適応する品種の育種素材として活用する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016571
カテゴリ 育種 遺伝資源 直播栽培 品種 良食味

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