畜舎排水、家畜糞堆肥等に由来するトリハロメタン生成能

タイトル 畜舎排水、家畜糞堆肥等に由来するトリハロメタン生成能
担当機関 畜産試験場
研究課題名
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 11箇所の畜舎排水のトリハロメタン生成能の中央値は原水で7677μg/L、処理水で569μg/Lであった。水質汚濁防止法の基準値を下回る水質であればトリハロメタン生成能の規制も遵守可能であると推定された。
背景・ねらい 平成6年5月から施行された「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法」により、地域によっては一定規模以上の事業場からの排出水中のトリハロメタン生成能(THMFP)の規制が行われることとなった。トリハロメタンは浄水場において、原水中の有機物(前駆物質)と浄水行程で注入される塩素とが反応して発生する毒物で、実験動物で初ガン性が確認されている。THMFPはこの前駆物質の濃度の指標である。畜産事業場は水道水源の集水域へ立地する例も多いことから、畜舎排水のTHMFPの把握と発生量の低減が環境対策として今後重要になると予想される。しかしながら、現状では畜舎排水のTHMFPに関するデータはわずかであり早急に対応が求められる。また堆肥等に由来する面源的な発生についても今後把握する必要がある。このため、家畜排泄物に由来する畜舎排水・堆肥溶出水等のTHMFPの実態を調査した。
成果の内容・特徴
  1.  測定手法の検討:THMFPの測定は「上水試験方法(1993年版)」に従って行ったが、この際最適塩素注入率の予測が困難であった。このことから注入率の予測方法を検討した結果、以下の式で効果的な予測が可能になった。
    所要塩素注入率(mgC1/L)=1.49COD(mg/L)+4.20NH4-N(mg/L)
    +1591.5E260-581.7(E260:ミリポアHAフィルターろ過試料における260nm吸光度)
  2.  畜舎排水中トリハロメタン生成能の実態と特性:11ヶ所(12 試料)の畜舎排水のTHMFP測定値の中央値(メジアン値)は、原水で7677μg/L、処理水で569μg/Lであった(図1)。指定地域内で一定規模以上の畜産農業事業場の規制値は 1300~5200μg/L範囲内で定めることとなっている。処理水の測定値の大部分はこの値以下だったが、一部は大きく超過していた。(図2)より、THMFPを最も厳しい規制値以下にするためにはBODを約 700mg/L以下、CODを約 200mg/L以下程度にする必要がある。なお、水質汚濁防止法におけるBOD、CODの基準値は日平均値 120mg/L、 最大値 160mg/L であることから、水質汚濁防止法の基準値を下回る水質であればTHMFPも問題ないと推定される。
  3.  畜舎排水トリハロメタン生成能の簡易予測手法の検討:THMFPと各種水質項目の値の相関関係を見たところE260との相関関係が0.855と最も高かった(図3)。よって、THMFPのおおよその値を推定するためにはE260の測定が効果的と考えられる。
  4.  面源負荷に関する基礎検討:施用された堆肥等からTHMFPの溶出の特性を明らかにするため室内実験を行った結果、豚糞堆肥および牛糞尿液肥に由来する可溶性のTHMFPは土壌に対する吸着性が強く、土壌(松林の黒ボク土)と混合すると約85%が吸着され溶出しなくなった。しかし、豚糞堆肥および牛糞尿液肥に由来するTHMFPは、水中では14日間の実験期間中、減少はわずかであったことから、一旦水域に溶出したTHMFPは減少しにくいことが明らかになった(図4)。
成果の活用面・留意点
    畜舎排水中のTHMFPの測定または簡易予測の際に利用できる。また、規制を遵守するための排水処理の指導にも活用できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016407
カテゴリ 環境対策

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