東京湾周辺地域で保護された野鳥の病原性大腸菌保菌状況と分離株の性状

タイトル 東京湾周辺地域で保護された野鳥の病原性大腸菌保菌状況と分離株の性状
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2005~2007
研究担当者 久保正法
金崎未香
江口正志
小林秀樹
秦 英司
西森 敬
発行年度 2008
要約  東京湾周辺地域で保護された野鳥(62種447羽)の糞便から2f型志賀毒素産生大腸菌と腸管病原性大腸菌がそれぞれ4羽および39羽から分離され、さらに約半数の野鳥の腸内細菌叢大腸菌が何らかの抗菌薬剤に対し耐性を示す成績は、野鳥が家畜衛生および公衆衛生上、警戒すべきベクターであることを示唆する。
キーワード 野鳥、志賀毒素産生大腸菌、腸管病原性大腸菌、薬剤耐性
背景・ねらい  国内における野鳥の病原性大腸菌の保有状況に関する報告はほとんどみあたらない。しかしながら、ある種の病原性大腸菌は宿主を問わず家畜や人にも感染するため、自由に飛来する野鳥の病原性大腸菌の保有状況調査は家畜衛生および公衆衛生上の観点から極めて重要である。そこで東京湾周辺地域で保護される各種野鳥の糞便から病原性大腸菌を分離し、その種類と保有率を調査する。また、野鳥の腸内細菌叢大腸菌の疫学的特性の解明の一助となる薬剤感受性状況を調べる。
成果の内容・特徴
  1. 2003~2006年にわたり東京湾周辺地域で保護された各種野鳥62種447羽の糞便から分離された病原性大腸菌の分離状況と特性は表1の通りである。
  2. 2f型志賀毒素産生大腸菌(2f型STEC)が4羽(0.9%)から、腸管病原性大腸菌(EPEC)が39羽(8.7%)から分離された。
  3. O157等の腸管出血性大腸菌は分離されず、また、分離株の血清型は人や家畜から高頻度で分離される血清型とは異なっていた。病原因子のひとつである菌体間結束線毛の遺伝子はいずれの株からも検出されなかった。
  4. 供試した各種野鳥208羽由来腸内細菌叢大腸菌208株の薬剤感受性試験の成績は表2の通りである。コリスチンを除く供試7薬剤で臨床効果の期待できない耐性菌が検出された。それらの耐性菌株の割合はアンピシリンや硫酸ストレプトマイシンで10%以上、オキシテトラサイクリンでは25%以上を占めていた。
成果の活用面・留意点
  1. 野鳥からは人への感染が報告されている2f型STECが分離されるため野鳥由来STEC検査には一般的に用いられている志賀毒素検出用PCRに加え、2f型STEC特異PCRあるいは産生される2f型志賀毒素のアッセイを実施する必要がある。
  2. 野鳥の多くが非典型的EPEC(インチミン遺伝子陽性、志賀毒素遺伝子および菌体間結束線毛遺伝子陰性)を保有すること、また、約半数の野鳥の腸内細菌叢大腸菌が薬剤耐性を示すことから野鳥は家畜衛生および公衆衛生上、警戒すべきベクターであることが示唆される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016348
カテゴリ 飼育技術 耐性菌 薬剤 薬剤耐性

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