東南アジアにおける鳥インフルエンザ等人獣共通感染症病原体の分子疫学情報

タイトル 東南アジアにおける鳥インフルエンザ等人獣共通感染症病原体の分子疫学情報
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2005~2009
研究担当者 西藤岳彦
竹前喜洋
内田裕子
林 豪士
廣本靖明
発行年度 2008
要約  タイおよびミャンマーの家きん、野鳥および豚で流行しているインフルエンザウイルスの遺伝子性状および病原性解析を行った。得られた臨床疫学情報はわが国を含むアジアの動物インフルエンザおよび新型インフルエンザの防疫対策に有用である。
キーワード 高病原性鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、東南アジア、人獣共通感染症
背景・ねらい  ヒトの新興感染症の約7割は動物の病原体に由来する。動物衛生研では、2006年から「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」に参画し、新興・再興感染症病原体の出現監視と疫学状況把握の目的で、タイ王国家畜衛生研究所に研究拠点を設立し、アジアで野生動物や家畜・家きんから派生する人獣共通感染症の研究を行っている。養豚・養鶏の盛んなタイ国は2003年以降高病原性鳥インフルエンザの大発生を受けており、渡り鳥の主要な飛翔ルートの交点に位置する国でもあり、鳥インフルエンザ等の新興人獣共通感染症の疫学調査に最適国の一つである。鳥インフルエンザの温床となるアジアにおいてその防疫に必要な疫学情報を得るとともに、豚を共通宿主とした豚型、人型あるいは鳥型ウイルスの遺伝子交雑によって世界的な新型インフルエンザウイルスの出現が危惧されていることから、タイ国での豚インフルエンザウイルス(SIV)の流行動態を把握することを目的として疫学調査を実施する。
成果の内容・特徴
  1. 高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)遺伝子の詳細な解析結果、タイ国では少なくとも2亜系統のウイルスが存続し進化し続けている(図1)。
  2. 野鳥分離株は分離年が異なるトラ分離株と同一クラスターを形成しており、一旦野鳥の群に侵入したHPAIVは野鳥群の中で比較的長期間安定に保持されている可能性がある(図1)。
  3. ミャンマーでは2006年~2007年の間に、少なくとも2回近隣諸国からHPAIVが侵入していることが明らかである。
  4. タイのSIVは少なくとも9つの異なった遺伝子の組み合わせを持ち、遺伝学的に多様であるが、HPAIV由来の遺伝子は検出されていない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 野鳥の中でHPAIVが比較的長期間安定に維持されることが明らかにされたことから、HPAIVの伝播と野鳥との関連がHPAI防疫上の重要となる。
  2. タイにおける豚インフルエンザウイルスの解析によって、新型インフルエンザ出現の鍵となる宿主動物のインフルエンザウイルスが遺伝学的に多様であることを世界で初めて明らかにした成績は、鳥インフルエンザウイルスのダイナミックな流行地で新型インフルエンザの継続的な監視が極めて重要なことを示している。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016327
カテゴリ 飼育技術

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