黄色ブドウ球菌由来潜在性乳房炎に対するrbGM-CSFとrbIL-8の治癒効果

タイトル 黄色ブドウ球菌由来潜在性乳房炎に対するrbGM-CSFとrbIL-8の治癒効果
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2001~2005
研究担当者 櫛引史郎
犬丸茂樹
高橋秀之
四十万谷吉郎
小松篤司
上田 久
発行年度 2005
要約  組換えウシサイトカインrbGM-CSFとrbIL-8を黄色ブドウ球菌由来潜在性乳房炎牛の乳房内に投与して治癒効果を調べたところ、感染発病して早期であれば、これらのサイトカインの組み合わせ投与によって潜在性乳房炎の治癒が可能である。
キーワード 乳用牛、黄色ブドウ球菌、潜在性乳房炎、rbGM-CSF、rbIL-8、乳汁化学発光能
背景・ねらい  黄色ブドウ球菌(ブ菌)は、毒素産生性と組織定着性が強いため、本菌による乳房炎の治癒率は極めて低い。また本菌は、病巣に肉芽腫や膿瘍を形成し、病気が慢性化する場合が多い。そのため、感染の早期に発見し、治療することが重要となる。我々は、貪食細胞が殺菌する際に検出される化学発光を応用した乳房炎早期診断法(乳汁CL法)を開発し、応用を試みている。この方法は乳房への細菌侵入と同時に起こる乳汁貪食細胞の変動を検出できるため、初期乳房炎の診断に有効であると考えられる。今回は、乳汁中の貪食細胞の化学発光能(CL能)、乳汁中の体細胞数(SCC)、乳汁中の総菌数及びブ菌数を主な診断指標にして、顆粒球・マクロファージに対する活性化作用や遊走能亢進作用を持つ組換えウシサイトカインrbGM-CSFやrbIL-8を時間をずらしてブ菌由来潜在性乳房炎罹患乳房に投与し、乳房炎の治癒効果を調べる。
成果の内容・特徴 1.
ブ菌由来潜在性乳房炎に罹患している泌乳中期のホルスタイン牛を乳房炎罹患後1ヶ月未満(早期群、7頭)と罹患後2∼6ヶ月経過の群(晩期群、8頭)に分けた。両群に対して、まず対照実験として朝と夕の搾乳後、罹患乳房に対照液5ml(生理食塩水4ml+細胞培養液1ml)を投与して7日間採材した。続いて、朝の搾乳後にrbGM-CSF 400μg/5mlを、夕の搾乳後にrbIL-8 1mg/5mlを同一乳房に投与し、14日間採材を行った。
2.
対照液及びサイトカイン投与に伴って直腸温は両群とも6時間目に0.3∼0.6℃上昇したが、1日目以降は投与前の値に戻った。日乳量は、目立った変化を示さなかった。
3.
カリフォルニアマスタイテステスト(CMT)値は、晩期群ではサイトカイン投与後も陽性が続いたが、早期群では7日と14日目にほとんどが陰転した。
4.
乳汁CL能及びSCCは、両群ともサイトカイン投与1日目にピーク値を持つ大きな上昇を示したが、その後の低下度合いは早期群の方が大きく、7日と14日目には投与前の値を大きく下回った(図1(a), (b))。
5.
乳汁総菌数及びブ菌数は、両群ともサイトカイン投与後6時間∼2日目に大きく減少した。早期群はその後も一貫して減少を続けたが、晩期群は7∼14日目に菌数の回復が見られた(図1(c), (d))。
6.
以上、2種類のサイトカインの乳房炎罹患乳房への時間差投与によって、早期群では明瞭な治癒効果が認められた。
成果の活用面・留意点 1.
難治性の黄色ブドウ球菌由来潜在性乳房炎でも、感染して短期間内であればrbGM-CSFとrbIL-8の併用投与によって治癒が可能であることから、将来の乳房炎の新しい治療剤の一つとして期待できる。
2.
組換えサイトカインは、炎症亢進作用があり、食品の安全性についても不明確な点があるので、実用化のためにはこれらの問題を解決する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016255
カテゴリ あま

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