悪性カタル熱ウイルス持続感染牛の摘発と免疫抑制剤投与試験

タイトル 悪性カタル熱ウイルス持続感染牛の摘発と免疫抑制剤投与試験
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2001~2003
研究担当者 葛城粛仁
今井邦俊
菅野徹
西森敬
西森知子
石原涼子
内田郁夫
発行年度 2003
要約 悪性カタル熱による死亡牛と同居していた牛について追跡調査し、羊ヘルペスウイルス-2に持続感染している牛2頭を摘発した。うち1頭に免疫抑制剤を投与したところ、ウイルス遺伝子量の増加が観察された。
キーワード ウシ、悪性カタル熱、羊ヘルペスウイルス-2、持続感染
背景・ねらい
 悪性カタル熱(MCF)はOIEのリストBに定義されたウイルス性疾病の一つであり、ウシカモシカ型と羊型の2病型が存在するが、我が国での家畜における発生例はすべて羊型MCFである。病原ウイルスである羊ヘルペスウイルス-2(OHV-2)はレゼルボアである羊に潜伏感染しており、牛・鹿などの大型反芻獣が感染・発症した場合には致死的な経過をたどることが多い。OHV-2は未だ分離されていないため、本疾病の感染伝播様式は不明な点が多い。今回MCF発生農家の同居牛の中からOHV-2持続感染牛を摘発し、免疫抑制剤投与による持続感染ウイルス量の変動を検索した。
成果の内容・特徴 1.
MCF発生農家における追跡調査
  MCF発生農家の同居牛から定期的に採血し、PCRによるOHV-2遺伝子の検出を行った。発生直後(平成13年4月)には25頭中10頭の白血球からウイルス遺伝子が検出されたが、そのうち8頭は翌月以降PCR陰性となった。残る2頭は出荷までそれぞれ11ヶ月、13ヶ月の間低レベルながらPCR陽性を示し、これらは持続感染牛とみなされた(表1)。しかし、この2頭を含めすべての同居牛はなんらMCF症状を示さず、不顕性感染例と確認された。
2.
OHV-2持続感染牛の免疫抑制剤投与試験
  上記のOHV-2持続感染牛1頭に、免疫抑制剤(デキサメタゾン)0.1mg/kg体重/dayを5日間静脈投与し、ウイルスの変動を調べた。白血球中OHV-2遺伝子は、平常時はnested PCRでようやく検出されるレベルだったが、デキサメタゾン投与後8~25日の間1st PCRで充分検出できるまで増加し、その後投与前のレベルに戻った(図1)。一方、鼻スワブからはOHV-2遺伝子は一度も検出されなかった。また、この牛は実験期間中臨床症状に異常は示さず、ELISA抗体の上昇も認められなかった。以上のことから、今回の投与条件ではMCFを発症しなかったが、ホストの免疫機能が抑制された場合、持続感染ウイルスが活性化し、発症へとつながる可能性が示唆された。
成果の活用面・留意点 羊型MCFは、羊と感受性動物(牛、鹿など)が同一農場内に飼養されている場合に発生することが多いが、近隣に羊がいない状況の例もある。持続感染牛の存在はその問題を説明できる可能性がある。今後MCFの発生があった場合は、当該牛のみならず同居牛の検査も必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016203
カテゴリ シカ 出荷調整

この記事は