タイトル | ヨーネ病診断用抗原製造用候補菌株の作出と免疫学的及び遺伝学的解析 |
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担当機関 | 生物学的製剤センター |
研究課題名 | |
研究期間 | 2002~2002 |
研究担当者 |
森 康行 吉原一浩 宗田吉広 菊間礼子 石丸雅敏 樫村勝一 新井啓五 内村明彦 照井和哉 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ヨーネ菌Kag-1株由来抗原は現製造用菌株P-18由来抗原と比較して、遜色のない皮内反応惹起能とインターフェロン・ガンマ誘導能を有していた。Kag-1株は抗原性状及び遺伝学的性状に関して、P-18株に比べ、よりヨーネ菌基準株に一致し、ヨーネ病診断用抗原を改良するための製造株候補として有望である。 |
キーワード | ヨーネ病、PPD、皮内反応、製造用菌株 |
背景・ねらい | ヨーネ病は畜産業に大きな被害を与えている家畜法定伝染病である。本病は撲滅対象疾病に指定され、診断・淘汰による国家防疫が進められている。本病の免疫学的診断は、抗体検査とヨーニン皮内反応により行われ、後者の診断液は動物衛生研究所で製造販売されている。ヨーネ病の診断用抗原の製造には、現在P-18株が用いられているが、本株は遺伝学的性状解析により、鳥型結核菌に分類されることが指摘されている。抗原解析でも同様の結果が得られていることから、製造用菌株の抗原性等について再検討する必要性に迫られている。既に、当研究室では、野外で分離したヨーネ菌(マイコバクテリルム・アビウム亜種パラツベルクローシス)Kag-1株の無タンパク質液体培地で培養することに成功している。そこで、既往成果をもとに、本製造用候補菌株について、抗原性状、遺伝学的性状を現製造用菌株と比較検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 香川県下で摘発されたヨーネ病発症牛の糞便より分離されたヨーネ菌株を蛋白成分を含まないMiddlebook 7H9培地を用いて継代を重ね、無蛋白液体培地で培養可能なKag-1株を作出した。 2. P-18株並びにKag-1株PPDを用いて、ヨーネ菌感作モルモット及びヨーネ菌実験感染牛における皮内反応を実施したところ、腫脹差、発赤の程度等に関して両者に差は認められなかった。(表1、2) 3. Kag-1株はヨーネ菌基準株(ATCC19698株)と同様の性状を示すが、P-18株は既報のように鳥型結核菌(マイコバクテリルム・アビウム亜種アビウム)と極めて類似した性状を示し、ヨーネ菌に特異的に存在すると考えられているIS900あるいはISMav2等の挿入配列を保有していない。IS1311 PCR-REA法による解析でも、P-18株は鳥型結核菌に分類された。(表3) 4. ヨーネ菌標準株とKag-1について、IS900 mixed-linker PCR法によりその遺伝子タイピングを試みたところ、両者はほぼ同様のパターンを示した。(図1) |
成果の活用面・留意点 | 1. ヨーニン製造に用いられている現製造用株P-18は、鳥型結核菌に分類され、ヨーネ菌が持つとされるいくつかの遺伝子を保有しないが、免疫学的応答を調べるヨーネ病診断用抗原の製造株として、実用面での支障はないと考えられる。また、鳥型結核菌をヨーネ病診断用抗原に用いることに関して、実用上の問題は海外においても報告されていない。 2. 製造用候補株Kag-1は民間企業にも分与され、血清学的診断用抗原としての解析、製造方法等について検討されている。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016194 |
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