北海道全域から分離した牛乳房炎由来Staphylococcus aureusの毒素遺伝子および発現毒素

タイトル 北海道全域から分離した牛乳房炎由来Staphylococcus aureusの毒素遺伝子および発現毒素
担当機関 疫学研究部
研究課題名
研究期間 2001~2005
研究担当者 秦 英司
勝田 賢
小林秀樹
江口正志
発行年度 2002
要約 北海道全域から分離された牛乳房炎由来Staphylococcus aureusは毒素遺伝子としてエンテロトキシンC、G、I遺伝子およびTSST-1遺伝子を高率に保有していた。エンテロトキシンC遺伝子およびTSST-1遺伝子保有株のほぼ全てがそれぞれの毒素を発現していた。
キーワード 牛乳房炎、黄色ブドウ球菌、SEC、SEG、SEI、TSST-1
背景・ねらい Staphylococcus aureusは牛乳房炎の原因菌として最も重要である。同菌は様々な病原因子を保有しており、なかでもエンテロトキシン(SEs)およびTSST-1はスーパー抗原であることが知られ、注目されている病原因子である。そこで我々は日本の酪農中心地である北海道全域から分離した牛乳房炎由来S.
aureusが保有しているSEsおよびTSST-1毒素遺伝子の保有状況、ならびに毒素の発現状況について解析した。
成果の内容・特徴 1.
北海道全域で収集した牛乳房炎由来S. aureus計551株について既報のPCR(J. Clin. Microbiol.
37:2446-2449,1999. J. Clin. Microbiol. 38:1032-1035,2000. Clin.
Diagn. Lab. Immunol. 8:959-964,2001.)によりSEA、SEB、SEC、SED、SEE、SEG、SEH、SEI、SEJおよびTSST-1遺伝子(sea、seb、sec、sed、see、seg、seh、sei、sejおよびtst)の保有状況を調べた。551株中373株(67.7%)がいずれかの毒素遺伝子を保有し、そのうち368株(98.7%)が複数の毒素遺伝子を保有していた(図1)。
2.
毒素遺伝子別保有状況を図2に示した。sec、seg、seiまたはtst保有株が多数を占めていた(図2)。
3.
毒素遺伝子を保有する373株のうちsec、seg、sei、tstの4種を保有する株は274株(73.5%)と最も多く、次いでsegおよびseiを保有する株が77株(20.6%)を占めた(図3)。
4.
逆受け身ラテックス凝集反応(SET-RPLA「生研」、TST-RPLA「生研」)により、SEA、B、C、DおよびTSST-1の発現性を調べた。seb、sec、sedおよびtst保有株の毒素発現率はそれぞれ100%、99.7%、100%および99.3%であった。
成果の活用面・留意点 北海道におけるS. aureusが起因する牛乳房炎において、本疾病由来のS. aureus株の約70%がスーパー抗原活性を持つSEs、TSST-1の遺伝子を持つことが判明した。なかでも、近年発見されたSEG、SEIの他SEC、TSST-1の遺伝子が牛乳房炎乳汁由来S.
aureusに高率に保有されていた。牛乳房炎の発病に関与する病原因子としてSECが最近注目されている(J. Dairy Sci.
84:2044-2050,2001.)が、今回の調査でも多数のSEC発現株を確認し、また同株のほとんどがseg、seiを保有していた。これらは牛乳房炎由来S.aureusの特性であることが示唆された。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016181
カテゴリ 乳牛

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