豚の離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)の診断法の確立とわが国におけるPMWSの浸潤状況

タイトル 豚の離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)の診断法の確立とわが国におけるPMWSの浸潤状況
担当機関 (独)農業技術研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2000~2001
研究担当者 加来義浩
吉井雅晃
久保正法
恒光 裕
勝田 賢
小野寺利幸
庄司智太郎
川嶌健司
村上洋介
谷村信彦
池田秀利
播谷 亮
堀野理恵子
木村久美子
発行年度 2001
要約 豚の離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)の検査法を確立し,わが国におけるPMWSの疫学調査を行った。その結果,原因因子と考えられるブタサーコウイルス2型ならびにPMWS発症豚が高率にわが国の豚集団に存在することが明らかとなった。
要約(英語) 18. The establishment of diagnosis for postweaning multisystemic wasting syndrome (PMWS) and field surveys for infection of porcine circovirus type 2, and PMWS in Japan
 We established serological, PCR and immunohistochemical methods to detect porcine circovirus type2 (PCV2), which was thought as the causative agent for postweaning multisystemic wasting syndrome (PMWS), and investigated a series of field surveys of PCV2 infection and PMWS in Japan. Serological surveys demonstrated that PCV2 infection had been widespread over pig farms in Japan and PCV2 existed from at least the late 1980's. In the survey on detection of PCV2 by PCR and immunohistochemistry in weaning pigs with wasting disease, PCV2 was detected in 80% of the weaning pigs by PCR, and characteristic PMWS lesions with the presence of PCV2 were detected in 30% of the weaning pigs. These results made it clear that PCV2 infection and PMWS is widespread in pig populations in Japan. Also, it indicated that detection of the features lesion and detection of PCV2 from the lesion are optimum for the diagnosis of PMWS. (Environmental Hygiene Section, Shichinohe Research Unit TEL +81-***********)
Reference:
1.Kawashima et al.(2001)PMWS Symposium-Idiology and Prevention p11-12.
2.Kawashima et al.(2001)US-Japan Cooperative Program in Natural Resources Panel of Animal and Avian Health Meeting p5.
キーワード  豚,離乳後多臓器性発育不良症候群,疫学調査
背景・ねらい 離乳後多臓器性発育不良症候群(postweaning multisystemic wasting syndrome:PMWS)は,世界中で問題となっている豚の新興感染病である。PMWSにはブタサーコウイルス2型(PCV2)が関与していることが証明されている。わが国では1999年に本病の存在とPCV2の分離が報告されたが
,診断法が十分に確立されておらず,また被害実態が調査されていない。そこで本研究では,PCV2に対する特異抗血清を作製して診断法を確立し,確立された診断法を用いてわが国におけるPMWSの実態を明らかにする。
成果の内容・特徴  
1.
ノトバイオート豚にPCV2 Yamagata株を接種して抗PCV2豚血清を作製,さらに免疫染色条件を検討し,PCV2の免疫組織化学的検出法を確立した(図1)。
2.
臨床的に健康な肥育豚ならびに繁殖豚におけるPCV2の感染状況を,間接蛍光抗体法を用いた血清抗体検査により調査した。8県143農場の豚643頭について,PCV2抗体検査を実施した結果
,農場別で96.6%,個体別で94.6%と高率であったことから,PCV2が,わが国に広く浸潤していることが示された(表1)。保存血清によるPCV2抗体調査では少なくとも1988年からすでにPCV2感染が認められた。また
,PMWS発生時の農場では,発生以前に比べて,PCV2抗体価がより早い月齢で上昇し,より高い抗体価を示した。
3.
「平成12年度診断予防技術向上対策事業(PMWS関連)」により,全国17府県と共同で,発育不良を呈した離乳豚におけるPCV2感染の有無をPCR法によって検査し
,PMWS病変の有無を病理組織学的ならびに免疫組織化学的に検査した。17府県48農場210頭についてPCR法によりPCV2核酸の検出を実施した結果,PCV2は,県別で100%,農場別で97.9%,および個体別で80.4%に検出された。17府県52農場224頭についてPMWS病変ならびに免疫組織化学的にPCV2を検出した結果
,PMWS病変を保有し,かつ,病変内からPCV2が検出されたPMWS陽性豚は,県別で82.4%,農場別で53.8%,個体別で30.4%であった。以上のことから,PCV2ならびにPMWSが
,わが国に広く浸潤していること,ならびにPCR法によりPCV2は検出されるがPMWS病変を持たない発育不良豚が高率に存在することが示された。また,PMWS発生農場においては
,発育不良豚の増加が認められない農場が認められた。
成果の活用面・留意点  
 
野外での高率なPCV2の浸潤実態から,抗体検査やPCR法によるPCV2検出では,PMWSの診断は行うことはできない。従って,PMWSの診断は,離乳後発育不良豚において
,病理学的にPMWSの特徴病変を検出し,病変内においてPCV2を検出することによらねばならない。本研究により確立された免疫組織化学的PCV2検出法は,PMWSの診断に極めて有用である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016164
カテゴリ 繁殖性改善 予防技術

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