日本で分離されたPeaton Virusの性状解析

タイトル 日本で分離されたPeaton Virusの性状解析
担当機関 (独)農業技術研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2001~2003
研究担当者 稲井耕次
加藤友子
松森洋一
大橋誠一
津田知幸
梁瀬 徹
発行年度 2001
要約 1999年に,九州で牛およびヌカカから分離されたウイルスを,血清学的解析によりPeaton virusと同定した。日本株とオーストラリア株のヌクレオカプシド遺伝子の塩基配列は8%程度の相違が認められた。
要約(英語) 12. Characterization of newly isolated Peaton virus in Japan
The viruses were isolated from the blood of cattle and Culicoides biting midges in the Kyushu district and identified by serological tests as Peaton (PEA) viruses. The nuclocapsid gene of the Japanese strains differed from that of the Australian strain by approximately 8 percent. A phylogenetic analysis of the nucleocapsid gene revealed that the PEA virus strains are closely related to Aino virus. (Clinical Virology Section, Kyushu Research Station TEL +81-99-268-2078)
Reference:
Matsumori et al.(2002)Arch. Virol. 147:401-410.
キーワード  牛,家畜衛生,異常産,アルボウイルス,系統解析
背景・ねらい 近年,九州・沖縄地域では牛アルボウイルスの流行が毎年確認されている。また,日本でこれまで分離されていないウイルスの侵入や病原性の変化も危惧されるため,流行ウイルスの監視および分離ウイルスの血清学的・遺伝学的性状の解析が必要である。1999年に長崎県および宮崎県で
,牛およびヌカカから既存の流行ウイルスとは異なるウイルスが分離された。分離ウイルスは血清学的解析により,Peaton virusであると同定された。今回の分離によって東アジア地域にもPeaton virusが広く浸潤していることが推測され
,今後の診断,疫学調査のためにも分離ウイルスの性状解析を行う事が重要であると考えられた。本研究では,オーストラリア株および日本分離株のS RNAセグメントの塩基配列を決定し
,両者の遺伝学的関連を明らかにすると共に,他のシンブ血清群に属するウイルスとの系統関係についても解析を行った。
成果の内容・特徴  
1.
長崎県で牛より分離されたNS-3/P/99株および宮崎県でヌカカより分離されたMZ-4/C/99株は,種々のアルボウイルス中和抗体を用いた中和試験およびドットブロット法による血清学的解析により
,ブニヤウイルス科シンブ血清群に属するPeaton virusであると同定された。
2.
オーストラリア株(CSIRO110株)およびNS-3/P/99株,MZ-4/C/99株のS RNAセグメントの塩基配列を決定した。NS-3/P/99およびMZ-4/C/99株のヌクレオカプシド遺伝子の塩基配列は
,CSIRO110株の配列に対して,それぞれ8.9 %と8.4 %の相違があった。これらの値は,Peaton virusそれぞれの株とアイノウイルスの間の相違の値(8.7~9.2%)とほぼ同等であった。一方
,NS-3/P/99株とMZ-4/C/99株の間では,99.6%相同であり,1999年に分離された2株はほぼ同一の遺伝学的性状を持つ事が明らかになった(表1)。
3.
ヌクレオカプシド遺伝子の塩基配列に基づく系統解析の結果,Peaton virus3株はアイノウイルスと極めて近い関係にあることがわかった(図1)。
成果の活用面・留意点  
1.
Peaton virusは,羊を用いた感染実験の結果,大脳欠損及び関節彎曲症を引き起こすことが報告されている。今回,Peaton virusの日本への侵入が確認された事により
,今後,ウイルスの流行と異常産発生との関連を注視していく必要がある。
2.
Peaton virusの株間で,S RNAセグメントの配列に変異が認められたことから,S RNAセグメントの配列を用いた分子系統樹を作成し,疫学的解析に活用することが可能である。
3.
アイノウイルスとPeaton virusのS RNAセグメントの塩基配列は高い相同性を示すため,S RNAセグメントの配列を用いた相互識別は困難であることが示唆された。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010016158
カテゴリ ICT 飼育技術

この記事は