畑土壌における交換態放射性ストロンチウム減少速度は土壌の陽イオン交換能が支配する

タイトル 畑土壌における交換態放射性ストロンチウム減少速度は土壌の陽イオン交換能が支配する
研究課題名
研究期間
研究担当者 関勝寿(東大農)
駒村美佐子
栗島克明(WDB 株式会社)
土壌環境研究領域 山口紀子
藤原英司
木方展治
発行年度 2006
要約 人工放射性核種の長期モニタリングデータを解析し、畑土壌に吸着された放射性ストロンチウムの減少速度を求めました。放射性ストロンチウムは、土壌の陽イオン交換容量の大きい土壌ほど下層土へ溶脱しにくく、また小麦子実にも吸収されにくいことがわかりました。
背景・ねらい 核実験由来の長寿命人工放射性核種は、現在でも土壌に残存しています。自然放射性核種に比べれば人工放射性核種の土壌中濃度はごくわずかですが、放射能事故などの不測の事態に備え、人工放射性核種の動態を明らかにしておく必要があります。そこで、畑土壌に吸着された放射性ストロンチウムの減少速度が、どのような環境要因に支配されて決まるのかを明らかにすることを目的とし、45年間収集してきた土壌の放射能モニタリングデータを解析しました。
成果の内容・特徴 畑土壌の作土層では、30~80%の放射性ストロンチウムが交換態として存在しています。長期モニタリングデータより、交換態の放射性ストロンチウム(Sr-90)の減少速度と、土壌中濃度が半分になるまでの年数(滞留半減時間)を計算しました(図1)。 Sr-90は、放射壊変による半減期(28.8年)よりも速く作土から減少していました(表1)。それは放射壊変に加え、下層土への溶脱や小麦による吸収によっても畑土壌の作土層から Sr-90が失われるためです(図2)。
Sr-90の減少速度は降水量などとは関係がなく、土壌が陽イオンを保持する能力(陽イオン交換容量、CEC)が大きい土壌ほど遅いことが明らかになりました。さらに、CECが大きい土壌ほど土壌中Sr-90が小麦に吸収される割合(CR)も低い傾向がありました(図3)。Sr-90は、土壌の陽イオン交換サイトに保持されることで畑土壌から失われにくくなったと考えられます。畑土壌からのSr-90の長期的な減少を支配する多くの環境要因の中で、土壌のCECが最も重要な支配要因であることがわかりました。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015907
カテゴリ 小麦 モニタリング

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