土壌抽出DNAを用いた土壌くん蒸処理の微生物群集への影響評価

タイトル 土壌抽出DNAを用いた土壌くん蒸処理の微生物群集への影響評価
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究課題名
研究期間 2001~2005
研究担当者 岡部郁子
松本直幸
星野(高田)裕子
発行年度 2004
要約 臭化メチル代替薬剤クロルピクリンやD-Dによるくん蒸処理は,土壌抽出DNAを用いたPCR-DGGE解析により評価でき,培養困難な微生物を含む土壌微生物の群集構造に影響を与える。ほ場におけるクロルピクリンの影響は1年では完全に回復しない。また,D-Dは処理の反復により影響がある。
背景・ねらい 臭化メチルの廃止に伴い,代替薬剤クロルピクリン,D-D(1,3-ジクロロプロペン)の使用増大が予想されており,これらが非標的生物に及ぼす影響が懸念されている。ホウレンソウ栽培ほ場において年1回上記薬剤でくん蒸処理を行い,土壌から直接抽出したDNAを用いて行うPCR-DGGE解析によって,培養困難な微生物を含む微生物群集の変動を追跡し,くん蒸剤の影響を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 糸状菌特異的プライマーとDGGE解析用プライマーを組み合わせたnested PCRにより,細菌群集と同様の方法で,糸状菌群集についてもPCR-DGGE解析ができる。
  2. 細菌16S rDNAおよび糸状菌18S rDNAを対象に,土壌より抽出したDNAをPCR-DGGE解析すると,クロルピクリン処理区の細菌および糸状菌群集,D-D処理区の糸状菌群集で,DGGEバンドパターンに基づくシャノン・ウィナーの多様性指数が低下する(図1)。
  3. クロルピクリン処理区について,各サンプル間の細菌群集構造のバンドパターンに基づく類似度を多次元尺度解析すると,処理は大きな変動をもたらし,処理後1年で完全には回復せず,2年目の処理により再び異なる変化がある(図2)。糸状菌群集についても同様な変化がある。
  4. D-D処理区では,細菌群集構造に大きな影響は見られないが,DGGEパターンに,2年目の処理後には無処理区で見られない細菌由来のバンドの増大が見られる(図3)。このように,線虫の制御を目的とするD-Dにおいても,処理の反復が,細菌群集に影響する。また,糸状菌群集構造についても,処理2年目からDGGEパターンが大きく変化する。
  5. 細菌群集のPCR-DGGE解析においては,既知の塩基配列と相同性が低く,新規細菌と推定される細菌由来のバンドがクロルピクリン処理後消失し,異なるバンドが新たに出現する(図3)。この例は,PCR-DGGE解析は培養困難な菌を含めて解析できることを示している。
成果の活用面・留意点
  1. 土壌から直接抽出したDNAを用いたPCR-DGGE解析法は,使用するプライマーを変えることで,同じサンプルから細菌と糸状菌群集について解析できる。さらにPCR-DGGE解析は原生生物や線虫などの群集構造解析にも応用できると見込まれる。
  2. 今回の実験は,それぞれ処理区を3反復もうけ,全ての結果に再現性が見られることから,本法は実ほ場における培養困難な微生物を含めた微生物群集についてのさまざまな環境影響評価への利用が期待される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015842
カテゴリ くり 土壌くん蒸 ほうれんそう 薬剤

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