水稲単作田の熱収支とCO2フラックスの通年データセットの構築

タイトル 水稲単作田の熱収支とCO2フラックスの通年データセットの構築
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究課題名
研究期間 2001~2005
研究担当者 (農耕地や自然生態系におけるフラックス変動の評価) 運営費交付金-- 宮田 明
発行年度 2003
要約 FLUXNETの標準的な手法を用いた観測結果に基づき,水稲単作田のフラックスデータセットを構築した。非耕作期間を含む通年の熱収支諸項や,CO2フラックス,気象要素の30分値が,一定の基準による品質管理を施されて収録されており,欠測値や異常値は補完されている。
背景・ねらい 陸域生態系の炭素循環の解明や植生の気候緩和機能の評価のためには,大気-植生-土壌系でのエネルギーや物質交換過程の総合的な観測とモデル化が重要である。しかし,農耕地を対象とした従来の観測研究は,作物の生育期間に限定されていたり,観測項目が限られた研究が多かった。そこで,本研究では東アジアの代表的な土地利用である水稲単作田を対象として,国際的なフラックス観測ネットワーク(FLUXNET)の標準的な方法を用いた総合的な観測を実施し,年間の 2/3を占める非耕作期間を含む地表面の熱収支,CO2収支に関するデータを提示するとともに,その季節変化を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 本成果は,慣行に従って管理された茨城県つくば市内の農家水田での観測結果に基づく。観測水田の土壌は灰色低地土,栽培品種はコシヒカリ,栽植密度は約18株m-2,最大葉面積指数は約5,平均湛水深は3cmで,稲藁は収穫後の耕起の際に土壌中にすき込まれる。
  2. データセットには,フラックスデータの他に,気象,土壌,植生のデータが含まれる(表1)。植生データを除いて,年間の各要素の30分値が収録されている。一定の基準に基づくデータの品質管理が施され,フラックスの欠測値や異常値は,FLUXNETの標準的な手法を用いて補完され,補完値であることを示すフラグが付されている。このデータセットから,各要素の日別値や月別値が計算できる。
  3. データセットを用いて計算したフラックスほかの要素の日別値(図1)から,水稲単作田では年間を通じて有効エネルギーの大半が潜熱フラックスに分配されるが,土壌が乾燥する春季(湛水開始前)には一時的に顕熱フラックスへの分配割合が増加する(ボーエン比が上昇する)ことや,収穫後のひこばえ生育期間には水田からのCO2の放出フラックスが減少することなど,水田の熱収支やCO2収支の季節変化の特徴が把握できる。
成果の活用面・留意点
  1. 本観測データは,水田と大気間のエネルギーやCO2の交換に関するモデルの構築や,リモートセンシングの検証データとして利用できる。
  2. 本データセットには,2000年から2004年までのデータが収録される予定であり,2001年と2002年のデータの整備が完了した。データの修正,追加や要素の追加は随時行われ,説明用のテキストデータとともに提供される。なお,冬季のCO2フラックスのデータについては,精度を検証中である。
  3. 本データセットの利用希望者は,研究担当者に連絡する。研究期間終了後には,本データセットはWebサイトから公開される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015807
カテゴリ 乾燥 水田 水稲 炭素循環 品種 リモートセンシング

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