ダイズの子実カドミウム低蓄積系統における根の役割

タイトル ダイズの子実カドミウム低蓄積系統における根の役割
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究課題名
研究期間 2000~2002
研究担当者 阿江教治
荒尾知人
杉山恵
石川覚
村上政治
発行年度 2002
要約 我が国の代表的なダイズ品種の中から,子実カドミウム濃度の低い品種を検索した。この品種は,根の細胞壁にカドミウムを蓄積し,地上部への移行を妨げていたが,高い品種はこのような蓄積能を持たず,カドミウムをそのまま地上部へ移行させていた。これら品種の遺伝系統樹から判断して,根におけるカドミウムの蓄積能は遺伝的形質である。
背景・ねらい 米,ダイズ等の食品中のカドミウム(Cd)濃度がコーデックス委員会で検討されており,国際的基準が新しく提唱されようとしている。日本人にとって極めて重要な食物であり,比較的摂取量の多いダイズについて,可能な限り子実中のCd濃度を低減させる必要がある。子実Cd濃度の低い品種を選定し,そのCd低吸収・蓄積機構を解明することにより,優れた形質を有するカドミウム低吸収品種の作出を図る。
成果の内容・特徴
  1. 非汚染土壌(圃場)および汚染土壌で栽培したダイズ品種30品種より,子実Cd濃度が大きく異なり,遺伝系統が明らかな4品種を選抜した(子実Cd濃度の高い順に品種A>B>C>D)。この濃度順位は,栽培条件や気象条件が異なっても変化せず,遺伝的形質によるものと思われた(表1)。
  2. 0.1ppmのCdを含む水耕液で上記ダイズ4品種を栽培し,器官別のCd濃度を測定した。Cd低吸収系統の品種C,Dでは根のCd濃度が高く,茎葉,子実中の濃度は低かった。一方,Cd高吸収系統の品種A,Bでは,逆に,根のCd濃度が低く,茎葉,子実中の濃度は高かった(表2)。このことから,低吸収系統ではCdが根に蓄積し,地上部への移行が妨げられていると推定された。
  3. 品種A,B,C,Dを台木に低吸収系統の品種Cを接ぎ木すると,A,Bの台木では,品種CのCd濃度は子実だけでなく茎葉濃度も上昇し,Cdの毒性によって生育は劣った。しかし,より低吸収系統の品種Dの台木では,品種Cの地上部Cd濃度は一層低下した。すなわち,低吸収系統はCdを根に特異的に蓄積し,地上部への移行を抑制していることが確認できた(図1)。
  4. 0.1ppmのCdを含む水耕液で栽培した品種A,B,C,Dの根に含まれるCdの形態を逐次抽出した結果,子実Cd濃度の低い品種ほど根細胞壁にCdが強固に結合している傾向が見いだされた(図2)。以上の結果,子実Cd濃度の低い系統は,根の細胞壁にCdが蓄積し,地上部への移行を抑制する機構が明らかになった。
成果の活用面・留意点 子実Cd濃度の低いダイズ品種系統と高い系統が存在し,さらに低い子実Cd品種作出の指標となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015762
カテゴリ 遺伝的形質 栽培条件 台木 大豆 接ぎ木 品種

この記事は