日本の畑土壌に適用可能な土壌炭素循環モデル(改良RothCモデル)

タイトル 日本の畑土壌に適用可能な土壌炭素循環モデル(改良RothCモデル)
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究課題名
研究期間 2001~2001
研究担当者 袴田共之(現
谷山一郎
農業工学研究所)
白戸康人
発行年度 2001
要約 日本の畑土壌において,非黒ボク土ではローザムステッド・カーボン・モデル(RothCモデル)を,黒ボク土では改良RothCモデル(ピロリン酸塩可溶アルミニウム含量により腐植画分の分解率を変化させる)を用いて,土壌炭素蓄積量の変動を精度良く予測することができる。
背景・ねらい 地球温暖化防止京都会議(COP3)において,二酸化炭素の吸収量を評価し,排出削減目標から差し引くことが決められ,農耕地土壌についても炭素収支の定量的な変動評価が求められている。わが国では土壌炭素の分解,集積に関する多くの研究があり,数式モデルも提案されているが,気象や土壌要因を含まないモデルであるため広域への適用や面的な評価には不十分で,温暖化など気候変動の影響も評価できない。そこで,広域評価に適用可能な土壌炭素循環モデルの一つで簡便かつ信頼性が高いRothCモデルの,日本の農耕地土壌における適合性を検証し,適合しない土壌に対する改良を行うことを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 愛知県農総試の黄色土畑,埼玉県農総研センターの褐色低地土畑,滋賀県農試の灰色低地土水田および栃木県農試の多湿黒ボク土水田における有機物連用試験結果にRothCモデル(図1)を適用し,炭素蓄積量の実測値とモデルの予測値とを比較した結果,非黒ボク土畑では予測値と実測値が一致した(図2)。水田では,モデルの予測値は実測値と一致しなかった。
  2. 北海道北見農試,青森県農試藤坂支場,栃木県農試および長野県中信農試の黒ボク土畑における連用試験にモデルを適用した結果,予測値は実測値を大きく下回った(図3,細実線)。そこで,黒ボク土は腐植が安定な形で存在するために分解が遅いことを反映させるため,活性アルミニウム量などの土壌特性値をパラメータとして腐植画分の分解率が変化するようにモデルを改良した。日本全国の林地および草地32地点(Andisol TU Database)において,モデルの予測値が実測値と一致するように腐植画分の分解率を変えるファクターFを求め,各地点のFと,化学特性値との回帰分析を行った結果,ピロリン酸塩可溶アルミニウム含量(Alp)が最も相関係数が高く,F=2.27Alp(%)+1.26の式を得た。上記4ヶ所の黒ボク土畑において,この式を使った改良RothCモデルでは予測値と実測値が一致した(図3,太実線)。
成果の活用面・留意点
  1. 畑土壌における炭素蓄積量算定のほか,土壌有機物含量維持のための堆肥投入量の決定など,日本の畑土壌における有機物管理に適用できる。
  2. 水田土壌への適用のためには、さらに改良、あるいは新規モデルの開発が必要である。
  3. RothCモデルは,Webで公開されている。http://www.iacr.bbsrc.ac.uk/aen/carbon/rothc.htm
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015747
カテゴリ 水田 炭素循環

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