タイトル |
飛行船型低層巡航リモートセンシングシステム |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
低高度を巡航しながらマルチバンドのスペクトル画像計測を行う飛行船型の低層リモートセンシングシステムを試作開発し,圃場の精密管理や,地域植生等に関する情報を高精細度で観測するためのシステムとして有効であることを明らかにした。
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背景・ねらい |
局地~地域規模における自然植生のモニタリングや,作物の精密管理に必要な植物・農地情報を把握する上で,リモートセンシング手法はきわめて有効な方法であり,空間解像度,時間分解能,データ取得の自由度などの面で種々の応用ニーズに対応した多様なプラットフォームや画像計測システムの開発を進める必要がある。そこで,低高度からの空中スペクトル画像計測を可能とする飛行船型の低層巡航リモートセンシングシステムを試作開発し,可能性を検証した。
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成果の内容・特徴 |
- 上空を航行しながら地上を観測するためのプラットフォームとして,長さ約23m,最大直径約7m,総容積約400m3(内ヘリウム容量約320m3)の飛行船型システムを試作開発した。システムは6気筒エンジン(25HP)を備え,無線制御により,制御地点から半径1km程度の範囲で航行させることが可能である。センサ等の搭載能力は約100kg,最大時速約40km,飛行高度は約30~500mの範囲である。直下モニタ用ビデオカメラの画像を無線伝送することにより,観測範囲を常時確認するとともに,飛行高度を観測画像に取り込んで記録することができる(図1)。
- 青・緑・赤・近赤外の4バンドのCCDビデオカメラシステムを試作搭載し,本観測システムによる飛行観測実験を行った結果,上空において静止または超低速で巡航しつつ直下観測を行うことが可能であった。機体振動の影響も微弱で,きわめて良質の画像を取得できた。高度制御により1フレームの画像で10a~15ha程度の領域を数cm~数十cmの高解像度でカバーでき,飛行しながら1/30秒ごとのスペクトル画像を連続的に記録する。
- バイオマスや葉面積指数は,少数バンドの反射計測でも比較的良好な評価が可能で(例:図3),マルチバンドの画像から作物圃場のバイオマスや葉面積指数の面的変異を高い解像度でとらえ得た(図4)。
以上のように,飛行船型システムは,巡航の速度,高度,安定度,騒音,観測の自在性等の面において優れ,低層からの高解像度の地表面リモート計測システムとして好適な特性を有する。
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成果の活用面・留意点 |
- 作物生長・収量,土壌特性等の農耕地特性の高精細度マッピングや精密GIS等のための低層リモートセンシングに応用が可能。また,最近種々の用途への飛行船の応用が注目されており,数少ない先行事例情報となる。
- 普及のためには今後,低コスト化,メンテナンスの簡易化等飛行船技術の高度化が期待される。現時点では平均風速毎秒4m程度までの条件での観測が望ましい。資格等は特に要しない。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015659 |
カテゴリ |
低コスト
モニタリング
リモートセンシング
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