タイトル |
画像入力のホップフィールドネットワークと単純パーセプトロンによるダイズ葉形判別モデル |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
ダイズ葉形の判別モデルとして,画像入力のホップフィールドネットワーク及び単純パーセプトロンを検討した.葉形分布によって学習させると,39品種を含むデータで最高80%以上の判別率を達成することができた。
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背景・ねらい |
専門家の視覚的判断は優れた結果をもたらす一方で,長い経験が必要であり,作業の省力化・安定化のためにもそれを代替する定量的手法が望まれている。二次元形状も判断対象となる重要な形質の一つであるが,汎用性の高い定量的判別手法は確立されていない。そこで,特徴抽出の必要ない画像入力のニューラルネットワークを用いた形状判別モデル開発の一例として,ダイズ葉形による品種判別を扱い,ホップフィールドネットワーク(Hopfield Network, HN)及び単純パーセプトロン(Simple Perceptron, SP)の適用を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 標準化楕円フーリエ係数で表現されたダイズ個葉(中央の小葉)の輪郭データ39品種375枚分から輪郭線を復元し,葉の内部を塗りつぶして個葉画像を作成した(図1)。さらに,学習データとして,同一品種内で楕円フーリエ係数の平均から平均葉形画像を,個葉画像の輝度値の平均から葉形分布画像(図2)を作成した。いずれの画像も、サイズは16×16画素及び32×32画素の二種類とした。
- HNによる連想記憶及びSPによる識別器の構造を,それぞれ図3,図4に示す。いずれも線形素子からなる。したがって結合係数は,学習データの入力と目標出力から作られる連立一次方程式の解として求められる。この解は二画像μ,ν間の類似度に相当するオーバラップ:を用いて記述される。ただし,ξιλは画像λの第ι成分である。HN(Hopfield,1982)及びSP(Rosenblatt, 1962)のシミュレータを実装した。
- オーバラップの二乗和を最小にする平均葉形及び葉形分布の集合をHN及びSPの学習データとし,記憶できる品種数を調べた。また,学習後のニューラルネットワークを評価するために,学習させた品種の個葉画像をテストデータとして入力し,品種判別率を求めた。ネットワーク構造,画像サイズ,学習データによる判別率の差異についても比較・検討した。
- 記憶品種数と個葉画像の判別率を図5に示す。品種数が15以下のとき,平均葉形及び葉形分布で訓練して判別率を求めたが,平均葉形で訓練したほうが判別率の降下が著しかった。品種数16以上については,葉形分布のみで学習させた。このとき,HN及びSPは39品種すべてを記憶できた。判別率は品種数2のとき100%であり,品種数の増加とともに低下した。また,HNよりSPが高く,16×16画素より32×32画素のほうが高い値を示した。16×16画素では解像度が低く,画像間の相関が高くなって判別が困難になったと考えられる。32×32画素の葉形分布で訓練したSPでは,常に80%以上の判別率を達成し,有効性が示唆された。
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成果の活用面・留意点 |
[成果の活用・留意点]
- 種子,葉など比較的単純な形状を,判別する問題に容易に応用できる。
- 画像中の対象の大きさ・位置・向きが一定になるよう規格化しておく必要がある。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015621 |
カテゴリ |
省力化
大豆
ばら
品種
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