コウライシバ由来のベタイン合成酵素遺伝子の全長単離

タイトル コウライシバ由来のベタイン合成酵素遺伝子の全長単離
担当機関 草地試験場
研究課題名
研究期間 2000~2000
研究担当者 蝦名 真澄
小松 敏憲
大石 英樹((社)日本草地畜産種子協会)
澤木 宏道(生研機構)
発行年度 2000
要約 強い耐塩性を示すコウライシバ遺伝資源から、ベタイン合成酵素遺伝子であるベタインアルデヒド脱水素酵素(BADH)の構造遺伝子全長を単離した。このBADH遺伝子のcDNA配列はイネと86%及び、ソルガムと76%の相同性を示した。アミノ酸をコードする領域の配列情報から系統樹を作成した。
背景・ねらい
 一般に、ベタインは耐塩性や耐寒性などの環境抵抗性の増加に寄与することが知られており、ベタインを合成するベタインアルデヒド脱水素酵素(BADH)は、塩ストレスなどによって高いレベルの発現誘導が認められることが知られている。これまでに、単子葉類ではイネ科のソルガムなどでBADH遺伝子の単離が行われているが、これらの植物は比較的耐塩性の低い植物である。このため、強い耐塩性を示すコウライシバ(Zoysia
tenuifolia Willd. ex Trin.)を供試して、強い耐塩性を飼料作物に導入できるBADH遺伝子の単離をめざした。
成果の内容・特徴
  1. コウライシバは、一般に耐塩性の高い植物であることが知られている。八重山諸島の黒島(沖縄県竹富町)にて海水を浴びる潮干帯付近に生育するコウライシバ遺伝資源を収集した。
  2. 温室内で定着後、市販の人工海水(NaCl, 3.0%)で2日間浸漬処理をした上記コウライシバから全RNAを抽出し、図1のAのプライマーを用いたRT-PCR反応でBADH遺伝子の部分配列を単離した。3' RACE法およびInverse PCR法を用いて、BADH遺伝子全長の配列を決定し、塩誘導したmRNAを材料として、図1のBのプライマーを用いて、翻訳開始点および終止点を含む約1.8kbのBADH構造遺伝子全長を単離した。
  3. 本遺伝子の塩基配列情報をもとにNeighbor-joining(NJ)法で系統解析を行った(図2)。単子葉類と双子葉類では明確なクラスターを形成した。しかし、アミノ酸をコードする領域全体の配列情報からは、耐塩性の強いマングローブやコウライシバに特異的な系統関係は見出せなかった。
成果の活用面・留意点
  1. 本遺伝子は遺伝子導入により、牧草類に強い耐塩性を付与することが期待できる。
  2. 耐塩性との詳細な検討には活性に関わる部分配列の特異性や塩誘導に関わる遺伝子上流域について今後検討する必要がある。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015435
カテゴリ 遺伝資源 飼料作物 ソルガム 耐寒性 抵抗性

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