湛水条件に対する飼料作物根の生理的適応反応

タイトル 湛水条件に対する飼料作物根の生理的適応反応
担当機関 草地試験場
研究課題名
研究期間 1998~1998
研究担当者 吉村義則
魚住 順
黒川俊二
発行年度 1998
要約 湛水耐性の強い草種は、表層根や根中空隙を発達させる能力や、低酸素下で好気的呼吸を維持する能力にすぐれる。この特性は、湛水下でのエタノール生成の抑制や根の活力維持に貢献している。
背景・ねらい 飼料作物の湛水耐性には草種間差がみられるが、これがどのような機作によりもたらされるかは解明されていない。そこで本研究では、湛水処理に対する根の反応の違いを検討することにより、多湿ストレス適応機構における草種間差異を明らかにしようとした。
成果の内容・特徴
  1. 湛水耐性の強い草種(栽培ヒエ、オオクサキビ)は、湛水に遭遇すると表層根の量を著しく増大させるが、湛水耐性の弱い草種(ギニアグラス、ソルガム、トウモロコシ)ではこの反応が弱い。また、前者は湛水条件下でも中~下層根を維持できるのに対し、後者のそれは著しく衰退する(図1)。
  2. 湛水処理を行うと、耐性の弱い草種ではエタノール含量が著しく増大するが、耐性の強い草種では下層根でわずかに増加するだけである。地際から40cmまでの地上部にオイルを塗布して地上部からの通気を阻害すると、栽培ヒエ、オオクサキビおよびソルガムではエタノール含量が増大するが、ギニアグラスとトウモロコシは変化がない(図2)。
  3. 酸素の供給路と考えられる根中空隙は、耐性の強い草種が弱い草種より大きい。また、前者は湛水に感応し空隙量を増大させるが、後者のそれはあまり変化しない(図3)。
  4. 湛水期間中の根中空隙内の酸素濃度は、耐性の強い草種では概ね4%以下で、これは耐性の弱いギニアグラスよりもむしろ低い(図3)。
  5. 耐性の強い草種は、湛水処理を行っても根中のATP含量は低下しない。耐性の弱い草種のうちギニアグラスとトウモロコシは、湛水処理により中~下層根のATP含量が低下するが、ソルガムではこのような反応はみられない(図4)。
  6. 以上の結果より、耐性の強い草種にみられる大きな根中空隙は、酸素の供給路として、耐性の発現に貢献していることが示された。さらに、これらの草種の根は、低酸素濃度下で好気的呼吸を維持する能力にすぐれ、このことが、大気と根の間の酸素濃度の勾配を強め、拡散による円滑な酸素供給の維持に貢献していることが示唆された。
成果の活用面・留意点
  1. 湛水耐性の発現機作を生理学的に解明する際の基礎的知見として活用できる。
  2. 根中の空隙量は、根に含まれる気体を吸引採取して、大気圧下で容積を測定することにより求めた。したがって、皮層間隙の容積と完全に一致するものではない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015303
カテゴリ きび 飼料作物 ソルガム とうもろこし ひえ

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