偏光度計測による草型の異なる牧草の混生率の推定

タイトル 偏光度計測による草型の異なる牧草の混生率の推定
担当機関 草地試験場
研究課題名
研究期間 1996~1996
研究担当者 高橋繁男
芝山道郎
発行年度 1996
要約 太陽光は水平葉、垂直葉の牧草の混生する草地群落で反射されると光の振動方向に偏りが生じる。この偏り程度(偏光度)の計測を応用することにより、草型の異なる草種の混生率を刈り取ることなく推定する可能性を見いだした。
背景・ねらい 草地の調査研究において最も労力および時間コストを要するのが、草種構成とその現存量の計測である。これまでに研究され、また一部実用化されている非破壊的計測法は、いずれも群落全体をマスとして捉える手法であり、群落の内部構成にまで踏み込んだ情報は得られない。そこで対象の構造や形態に鋭敏といわれる反射光の「偏光度」を野外で計測する技術を草地群落計測に応用した。測定対象としてマメ科草・イネ科草をそれぞれ水平および垂直葉の典型草種として取り上げた。
成果の内容・特徴
  1. 分光放射計(8バンド、視野角5°)に手動回転式の偏光フィルタを前置した野外用の偏光観測装置を製作した。偏光度は、太陽に正対して群落を斜め下向きに観測し、分光放射計前部の偏光フィルタを0°から180°まで回転しながら反射光の強さ(反射率)を測定することにより求める(図1)。
  2. 反射光が偏光している場合、偏光フィルタを回転させると、その偏光の程度に応じて反射率が変動するので、その最大値と最小値(Rmax、Rmin)を検出する(図2)。偏光度(P)は、
    P = (Rmax-Rmin) / (Rmax+Rmin) により各波長帯(バンド)ごとに算出する。手動式の測定装置では、フィルタ回転角度20°間隔・8点での測定により、1回当たり30秒程度で偏光度が観測可能であった。
  3. 供試草地は、シロクローバとイタリアンライグラス、ペレニアルライグラス、またはトールフェスクとの混播採草地・放牧地(地上部乾物重600g/・程度以下)である。赤色バンド(中心波長 約660nm)の偏光度が、イネ科・マメ科草混生群落のマメ科草割合が大きいほど高いことが確認された。
  4. マメ科・イネ科草それぞれの高さ別葉面積分布、葉面角度分布、太陽高度・観測角度および葉面屈折率、推定拡散反射係数等を与えると群落の偏光度を出力するモデルを作成した(モデルの詳細は文献[3]参照)。このモデルは、実測された偏光度を推定することができ、また群落下層に展開した水平葉のマメ科草の葉面積指数(LAI)と全LAIとの比(混生率)と偏光度との関係に関して、モデル予測値と実測値のパターンがほぼ合致した(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法は、草地の生態研究の現場で生産構造の推定などに活用される。また、地球環境監視用のリモートセンシング人工衛星の搭載センサの開発およびデータ解析技術のため応用できる。
  2. 実用的には測定をさらに高速化する必要がある。
    (図1) 草地群落の偏光度測定の模式図。
    太陽光は、群落で反射されることにより、偏光となる。偏光の強さ(偏光度)は、分光放射計に前置した偏光フィルタを旋回させて測定する。
    (図2) 偏光フィルタの回転角度と赤バンド(中心波長662nm)反射率との関係。
    ●は実測値、各曲線は、実測の全16点、8点および4点を使用したの場合それぞれのあてはめ結果である。観測時太陽高度50°、全葉面積指数 1.9、水平葉面積/全葉面積比(混生率)0.76。
    (図3) 全葉面積 に対する水平葉(マメ科)草葉面積の比(横軸)と実測赤バンド偏光度およびモデル予測値。
    ○は太陽高度約50°、●は約70°での実測値。三本の曲線はそれぞれ異なる全葉面積指数条件のもとでの、水平葉面積/全葉面積比に対する偏光度のモデル推定結果である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015206
カテゴリ イタリアンライグラス コスト リモートセンシング

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