野草地土壌からのアーバスキュラー菌根菌(VA菌根菌)の分離法

タイトル 野草地土壌からのアーバスキュラー菌根菌(VA菌根菌)の分離法
担当機関 草地試験場
研究課題名
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1995
要約 植物根に共生し、そのリン吸収を助けるアーバスキュラー菌根菌(VA菌根菌)の分離法について、野草地土壌を用いて検討した。胞子抽出法、土壌トラップ増殖法、植物トラップ増殖法のいずれも一長一短があり、目的に応じて使い分けたり、併用することが必要である。
背景・ねらい アーバスキュラー菌根菌(従来、VA菌根菌と呼ばれてきた)は植物の根に共生し、宿主植物のリン吸収を増加させ、生態系におけるリンの循環に大きな役割を果たしている。また、植生の多様性や植生遷移にも影響を及ぼしていることが明らかになりつつある。しかし、実際に土壌中で機能しているアーバスキュラー菌根菌を分離し、特定することは難しい。そこで、野草地において本菌類の分離法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 草地試験場藤荷田山圃場・放牧試験地よりa=ススキ型草地、b=シバ型草地、c=アズマネザサ(a、bの試験区に隣接する群落)の根圏土壌を採取し、胞子抽出法、土壌トラップ増殖法、植物トラップ増殖法によってアーバスキュラー菌根菌を分離した(図1)。
  2. 胞子抽出法では特定のGlomus sp.がいずれの土壌からも優占して分離された。牧草類を宿主としてこの菌のポット培養を行ったが増殖しなかった(表1)。
  3. 土壌トラップ増殖法では、Glomus leptotichum、Glomus clarum、Acaulospora appendicula Acaulospora longulaが分離された(表1)。 シバ型草地の土壌を接種源とした場合には、ソルガム等の飼料作物類への生育促進効果が高く、本法で分離された菌の微生物遺伝資源としての活用が期待される(図2)。
  4. 植物トラップ増殖法で分離された菌はAcaulospora longulaとScutellospora sp.(未同定)のみであり、形成された胞子も少なかった(表1)。
  5. これらの分離法では、それぞれ分離される菌が異なり、目的に応じて使い分けるか複数の分離法を併用することが望ましい。すなわち、胞子抽出法は、容易に土壌中の胞子を分離することができるが必ずしも分離菌を増殖できるわけではない。土壌トラップ増殖法は、ポット培養で増殖し易い菌株の分離に適しているが、増殖した菌が分離源において活動していたかどうかは不明である。植物トラップ増殖法は根に感染しているが胞子を形成していない種に適用可能である。
成果の活用面・留意点
  1. これらの分離法は草地土壌に限らずどのような土壌へも適用可能である。
  2. アーバスキュラー根菌は絶対共生であり宿主との共生条件でしか増殖せず、本法で分離された菌株の維持・増殖には菌を感染させた宿主植物のポット栽培が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015165
カテゴリ 遺伝資源 飼料作物 ソルガム

この記事は