広帯域顕微分光イメージングによる農産物の内部構造・成分分布の可視化

タイトル 広帯域顕微分光イメージングによる農産物の内部構造・成分分布の可視化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究課題名
研究期間 2004~2007
研究担当者 杉山純一
蔦瑞樹
発行年度 2007
要約  対象物の内部構造を立体的に可視化する新規の計測システムを開発した。人間の目には見えない農産物・食品の内部構造や成分分布を可視化でき、食品素材の特性把握や、栽培、育種分野等における品質モニタリングに応用可能である。
キーワード 分光イメージング、内部構造、成分分布、可視化
背景・ねらい
 励起蛍光マトリックス(Excitation-Emission Matrix: EEM)は、励起波長及び蛍光波長を変化させながら、対象物の蛍光強度を計測して得られる等高線状のデータである(図1)。EEMは成分固有のパターンを持つことから、様々な波長条件で蛍光画像を撮影して各画素のEEMを取得し、画素間のEEMパターンを比較する「EEMイメージング」により、対象物における特定物質の有無やその分布を明らかにすることが可能であると考えられる。このEEMイメージングの応用により、食品や農産物内部における成分分布や内部構造の可視化と、それに基づく品質や加工特性の新規評価手法開発が期待される。
成果の内容・特徴 1.試料表面をミクロン単位で連続的に切削するマイクロスライサ、任意の波長で試料を照明可能な分光照明部、並びに任意の波長で試料の断面画像を撮影可能な分光撮影部を統合し、試料中の任意の部位におけるEEMを計測可能な広帯域顕微分光イメージングシステムを開発した(図2)。
2.上記のシステムを用いて、励起波長350-670 nm、蛍光波長400-720 nm、波長間隔10 nmにて大豆種子の切断面の蛍光画像を撮影して(図3a)、切断面の各画素におけるEEMを算出した(図3b)。
3.各画素のEEMデータに対して主成分分析を適用し、得られた主成分得点プロットを色空間に変換することにより、各画素のEEMパターンの違いを色空間における座標の違い、すなわち色の違いに変換した(図3c)。
4.蛍光画像の各画素を、上記色空間における座標に応じて彩色し、大豆切断面における各部位のEEMパターンの違いを可視化した(図4左)。さらに、大豆種子の切削、撮影、可視化を繰り返し行い、得られた複数の3次元可視化画像を立体に再構築することにより、大豆種子の内部構造を立体的に可視化した(図4右)。
5.大豆種子と同様の手法を用いて、小麦種子でも内部構造を立体的に可視化可能であった。

成果の活用面・留意点
1.本手法を用いて各種穀類の内部構造を可視化し、品種間等で比較することにより、食品加工素材としての特性把握や、栽培、育種分野等における品質モニタリングに応用可能である。
2.本手法は特定成分の励起・蛍光波長条件ではなく、幅広い波長帯の蛍光情報を利用するため、穀類のみならず、野菜、果実、加工食品等への応用が可能である。
3.今後は、タンパク、デンプン、脂質等の各種成分固有のEEMパターンを明らかにして本手法に導入することにより、農産物や食品中における各種成分分布の立体可視化への展開を図る。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010015037
カテゴリ 育種 加工 加工特性 小麦 大豆 品種 モニタリング

この記事は