野菜・海藻に含まれるキサントフィルの消化・吸収

タイトル 野菜・海藻に含まれるキサントフィルの消化・吸収
担当機関 (独)食品総合研究所
研究課題名
研究期間 2003~2004
研究担当者 長尾昭彦
発行年度 2004
要約 ガン予防や血流改善等の機能が示唆されているフコキサンチン、ネオキサンチン及びクロセチンについて、マウスでの消化・吸収及び代謝変換を解析した。また、食品中のカロテノイドの消化性を簡便に評価するin vitro消化系を構築した。
背景・ねらい 多くの椊物性食品に含まれるカロテノイドは、ラジカル捕捉活性及び一重項酸素消去能などの抗酸化性 示すため生活習慣病予防に寄与しているものと考えられている。また、その中でも極性の高いキサントフ ィルやアポカロテノイドには抗酸化性の他に特異な生物活性が報告されている。海藻に含まれるフコキサ ンチンや緑葉野菜のネオキサンチンには強い抗プロモーション活性やがん細胞増殖抑制活性が、サフラン やクチナシの色素成分であるクロセチンには血流改善作用が報告されており、ヒトの健康維持への関与が 示唆されている。しかし、これらを食品から摂取した場合の生物活性発現を裏付ける消化・吸収等の生体動態についての知見は得られていない。本研究では、これらのキサントフィル類の消化・吸収と代謝産 物についてマウスへの経口投与試験により解析し、また、それらの生物活性をPC-3ヒト前立腺がん細胞の 増殖に対する影響から評価した。
成果の内容・特徴 1.ワカメ由来フコキサンチンのマウスへの経口投与試験の結果、フコキサンチンは消化管内でフコキサ ンチノールへ加水分解されたのち吸収され、さらに肝臓ミクロソームの脱水素酵素の働きによりアマ ローシアキサンチンAに変換されることを見出した(図1)。これらの代謝産物は、PC-3 ヒト前立 腺がん細胞に対してフコキサンチンと同程度の細胞毒性を示したことから、従来報告されてきた in vivo でのフコキサンチンの生物活性はこれらの代謝産物に依存することが示唆された。
2.ホウレン草由来ネオキサンチンのマウスへの経口投与試験の結果、ネオキサンチンは消化管内でその 一部がネオクロームに異性化されたのち吸収されることを見出した(図2)。ネオキサンチンの PC-3 ヒト前立腺がん細胞に対するアポトーシス誘導活性は、ネオクロームでは消失したものの顕著な細胞 増殖抑制作用を示した。in vivo でのネオキサンチンの生物活性にはネオクロームも関与することが示 唆された。
3.クロシン及びクロセチンのマウスへの経口投与試験の結果、クロシンは消化管内でクロセチンへ加水 分解後に吸収されること、クロセチンの一部はグルクロン酸抱合体に変換されることを見出した。こ れらの吸収性は、β-カロテンやネオキサンチン等に比べ 10 倊程度高いことが示唆された。
4.椊物性食品中のカロテノイドの消化性及び消化過程における化学変化を調べるため、塩酸酸性や消化 酵素処理等からなるin vitro消化系を構築した。ホウレン草に含まれる非極性のβ-カロテンの消化 性は、極性のキサントフィル類に比べ著しく低いことが示され、食品カロテノイドの消化性を評価で きることが分かった(図3)。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010014980
カテゴリ あま サフラン

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