膜分離技術を用いたキクイモオリゴ糖精製・濃縮プロセス

タイトル 膜分離技術を用いたキクイモオリゴ糖精製・濃縮プロセス
研究課題名
研究期間 1994~1997
研究担当者 中嶋光敏
鍋谷浩志
発行年度 1997
要約 各種膜分離技術(限外濾過,逆浸透およびナノフィルトレーション)を用いたキクイモオリゴ糖精製・濃縮プロセスの性能をパイロットスケールの装置により評価した。実験結果に基づき本プロセスの性能を表す数学モデルの提案を行った。数学モデルを用いて工業規模でのプロセス設計ならびにコスト試算を行い,本プロセスの実用化の可能性を検討した。
背景・ねらい  
近年,オリゴ糖は生理活性物質等として様々な面から注目されている。キクイモ(Jerusalem
Artichoke)には,その塊茎に貯蔵炭水化物として主にD-フルクトースから構成されるイヌロオリゴ糖が比較的多量に含まれており,フラクトオリゴ糖の原料として利用が期待されている作物でもある。昨年度までは,キクイモオリゴ糖精製プロセスへの膜分離技術の適用に関して基礎的な検討を行ってきた。本年度は,各種膜分離技術(限外濾過(UF),逆浸透(RO)およびナノフィルトレーション(NF))を用いたオリゴ糖精製・濃縮プロセス(図1)の性能をパイロットスケールの膜分離装置により評価し,それらの実験結果に基づき本プロセスの性能を表現するための理論数学モデルの提案を行う。また,その数学モデルを用いて工業規模でのプロセス設計ならびにコスト試算を実施し,本プロセスの実用化の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. キクイモ抽出液(Bx 2.3)をUF膜で処理した結果,透過液濃度はBx 1.5にまで低下したが,UF膜により阻止されて除去されたのは15糖以上の糖及び高分子物質のみであった。
     
  2. RO膜を用いた回分処理(操作圧力 3.0 MPa)を行ったところ,UF透過液をBx 13.1にまでしか濃縮することができなかった。これは抽出液に含まれる塩類の浸透圧の影響によるものと考えられた。
     
  3. 塩類をある程度透過させることのできるNF膜を用いて,濃縮および精製を同時に行うことを試みたところ,RO処理液よりも高濃度のBx21.4にまで濃縮することができ,実際に,当初の目的である塩類,単糖および二糖の除去が行われていることも確認できた。
     
  4. パイロットスケールでの各膜処理において,提案した数学モデルによる計算値と実験値は良好に一致していることを確認した(図2,3)。
     
  5. 提案した数学モデルを応用して工業規模でのプロセス設計およびコスト試算を行ったところ,1日当たりの処理時間を8時間,NF膜の有効膜面積を100
    m2,NF処理によって得られるオリゴ糖液の糖度をBx 20と仮定した場合,必要なUF膜は140
    m2となった。最終工程においてオリゴ糖液をエバポレーターにてBx 50にまで濃縮すると想定すると,一日あたり1730
    kgのオリゴ糖液が得られる。この際,オリゴ糖液1 kgを製造するのにかかる費用は約
    129 円となり,膜技術を用いた工業規模での実用化の可能性が示唆された。
成果の活用面・留意点
  1. ここでのコスト試算は,システムが年間を通して稼働した場合を想定している。本システムを実用化するに当たっては,年間の稼働日数をいかに大きくとるかが重要となるものと考えられる。
     
  2. キクイモだけではなく他のオリゴ糖含有作物(ヤーコン,チコリ,ダリア等)も処理の対象とすることにより稼働日数を増やすことも一つの有効な手段となり得ると考えられる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010014847
カテゴリ きくいも コスト ダリア チコリ ヤーコン

この記事は