野菜成分の白血病細胞に及ぼす影響

タイトル 野菜成分の白血病細胞に及ぼす影響
担当機関 食品総合研究所
研究課題名
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1994
要約  白血病細胞分化誘導作用を示す食品はがん予防に寄与する可能性があると考えられる。本研究ではホウレンソウやナス等の野菜類の水溶性高分子画分がU-937白血病細胞の分化を誘導することを明らかにした。また、ホウレンソウ中の分化誘導因子の1つは分子量670kDa以上の多糖であることを明らかにした。
背景・ねらい  緑黄色野菜がヒトのがんの予防に効果的であることが疫学的研究から示唆されているが、がん予防に働く成分及びその作用機構については十分には解明されていない。一方、白血病細胞は分化の異常により生じることから、白血病細胞分化誘導作用を示す食品成分はがん予防に働く可能性がある。そこで野菜中の成分のがん予防効果の解明を目的として、各種野菜類の白血病細胞分化誘導作用を検討すると共に、ホウレンソウ中に含まれるヒト白血病細胞分化誘導因子の分離を行った。
成果の内容・特徴
  1. 野菜類及びその他の食用植物は生理的リン酸緩衝液で抽出した後、80%硫安沈殿物を透析・凍結乾燥して水溶性高分子画分とした。
  2. 各種野菜類およびその他の食用植物の水溶性高分子画分をU-937白血病細胞の培地中に加えて培養した結果、ナス、インゲン、キュウリ、ネギ、パセリ、ギムネマシルベスタおよびミシマサイコの水溶性高分子画分が、マクロファージへの分化指標である細胞表面抗原CD11bおよびCD36の発現量を増加させた。このことから、これらの水溶性高分子画分中にU-937細胞分化誘導因子が存在している可能性が示唆された(表1)。
  3. ホウレンソウ水溶性高分子画分をDEAE-Toyopearl 650イオン交換クロマトグラフィー、Sephadex G-100カラムクロマトグラフィー、RCA120 agarose gelクロマトグラフィーにより分画し、U-937細胞分化誘導作用を示す活性画分DGR 2を得た。
  4. DGR 2画分をTSK gel G4000 SWXLカラムクロマトグラフィーにより分画した結果、分子量約670kDa以上に相当するFr.1画分においてのみU-937細胞分化誘導活性が認められた(図1及び表2)。
  5. 活性画分Fr.1タンパク質、中性糖および酸性糖含量を測定した結果、活性画分は約2%のタンパク質を含む多糖であり、その糖の約14%が酸性糖であることが明らかになった(表3)。
成果の活用面・留意点  本研究によりホウレンソウをはじめとする食用植物の水溶性高分子画分およびホウレンソウの多糖成分の白血病細胞分化誘導作用が明らかになった。これらの結果は、実験動物を用いたin vitroでの活性の確認、ヒトでの臨床実験等を経る必要があるが、白血病細胞分化誘導作用を有する野菜類やその成分ががん予防等に役立つ可能性を示唆するものである。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010014770
カテゴリ 乾燥 きゅうり なす ねぎ パセリ ほうれんそう

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