ナガチャコガネにおける飛翔筋二型の遺伝と圃場間移動

タイトル ナガチャコガネにおける飛翔筋二型の遺伝と圃場間移動
担当機関 野菜・茶業試験場
研究課題名
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 ナガチャコガネ雌飛翔筋二型(有筋型、無筋型)の茶園環境下への適応性はほぼ同等と考えられた。圃場レベルでは無筋型の歩行による隣接圃場への侵入が多く、有筋型が遺伝的に劣性な形質であることも考え合わせると、茶園個体群の飛翔筋保有率が短期間で急増することは少ない。
背景・ねらい 茶園で周期的に行われる区画単位の改植は、様々な害虫に新生息地を提供する。ナガチャコガネの個体群も、改植により圃場に生じたパッチ状の新天地の侵入、増殖を通じて成長する。ナガチャコガネによる茶樹への被害は、幼虫の根部食害によって生じ、前世代の雌成虫の移動により伝搬される。本種の雌には、移動・分散に関わる重要な形質である飛翔筋に二型(有筋型、無筋型)が知られている(全ての雄は飛翔筋を持つ)。これまで無筋型の移動力は極めて小さいと考えられてきたが、圃場におけるこれらの挙動や個体群の成長に関する知見はほとんど報告されていない。そこで、効率的防除技術開発の基礎とするため、本種飛翔筋二型の出現機構や圃場における個体群の遺伝的構造に関する調査を行った。
成果の内容・特徴
  1. 無筋型の移動力が極めて小さければ、飛翔筋保有率の低い個体群(図1)では圃場区画ごとの個体群間に遺伝的隔離が想定される。しかしアロザイム多型を指標に集団遺伝学的解析を行うと、圃場レベルの個体群では遺伝的分化がほとんどなく、区画間の遺伝的交流が大きいことが示された(表1)。
  2. 新改植区画への侵入は、飛翔筋保有率の低い個体群(図1)でも、雌(殆ど無筋型)雄(全て飛翔筋を持つ)同程度であり(図2)、無筋型の移動力も大きいことが示唆された。無筋型は歩行により移動していた。
  3. 圃場改植後の経過年数に応じて、個体密度に上昇傾向が見られたが、飛翔筋保有率には差異が見られなかった(図1)。したがって、本種有筋型・無筋型の現行チャ栽培管理条件下における適応性は、近似的にほぼ同等と予測された。
  4. 本種雌の有筋型は遺伝的に劣性の形質であり(表2)、飛翔筋二型の発現は環境要因に影響されない。従って、有筋型が適応上有利であったとしても、茶園個体群の飛翔筋保有率が短期間で急増することはない。
成果の活用面・留意点
  1. 本種の防除法として明溝による歩行雌侵入阻止等の物理的手法の検討が必要である。
  2. 飛翔筋保有率が高い個体群では雌の飛翔による侵入も考慮する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010014252
カテゴリ 改植 害虫 栽培技術 防除

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