タイトル |
病原菌の繰り返し接種による土壌のテンサイ苗立枯病抑止性の誘導 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究課題名 |
|
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1994 |
要約 |
テンサイ苗立枯病の土壌の抑止性は、菌体の繰り返し接種により誘導される。土壌の抑止性は死菌体によっては誘導されず、抑止土壌中では繰り返し接種をしても菌数が減少し、菌糸の生育は抑制される。
|
背景・ねらい |
土壌病害には、連作あるいは激発後に衰退するものがあることが知られているが、生物的防除法を開発するためには、その衰退要因と環境条件を解明する必要がある。そこで、繰り返し接種によりテンサイ苗立枯病に対する土壌の抑止性を誘導し、その抑止機能を解明して、抑止因子の施用や抑止作用の増強により、発病を軽減する技術の開発に資する。
|
成果の内容・特徴 |
- 土壌の抑止性は、テンサイ苗立枯病菌(Rhizoctonia solaniのAG2-2とAG4)の培養菌体を容積比1%濃度で2週間おきに5回繰り返し接種することにより誘導される。
-
土壌の抑止性は、プロピレンオキサイドで殺菌した菌体の接種によっては誘導されない(表1)。
- AG2-2とAG4に属する5菌株によって誘導した抑止土壌に、異なる菌株を相互に接種した場合、抑止性が認められ、土壌の抑止性に菌群特異性はない。
- R.solaniの菌糸の伸びは、繰り返し接種土壌中で抑制される(図1)。このため、土壌中の菌糸の伸びは、抑止性の検定に利用できる可能性がある。
- 土壌中のR.solaniの菌数は、繰り返し接種による接種源の累積にもかかわらず減少する(図2)。
- 苗立枯病に対する繰り返し接種土壌の抑止性は、46~49℃付近の熱処理により弱まり、55℃でほぼ消失する。この時、糸状菌数は49℃以上で減少したが、細菌数は60℃まで無処理と差がなかった(図3)。これらのことから、繰り返し接種によって生じた抑止性には熱感受性の生物的な因子、特に糸状菌が関与していると考えられる。
- 滅菌土で苗立枯病に対する抑止効果のある、TrichodermaおよびVerticillium菌が、繰り返し接種土壌から得られる。
|
成果の活用面・留意点 |
- テンサイ苗立枯病の生物的防除法の開発に利用できる。
- 抑止土壌は防除に直接的に利用はできない。
- 繰り返し接種に用いる接種源の培地成分を最小限にする。
|
URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010014097 |
カテゴリ |
生物的防除
立枯病
てんさい
防除
|