タイトル |
スクミリンゴガイ越冬貝の耐寒性消失条件 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2007~2008 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2008 |
要約 |
スクミリンゴガイ越冬貝の耐寒性は、湛水条件で25℃で4日間、20℃では8日間で消失する。湿潤条件では25℃でも耐寒性は完全には消失しない。
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キーワード |
スクミリンゴガイ、耐寒性、グリセロール
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背景・ねらい |
スクミリンゴガイは西日本を中心にイネの重要害貝となっている。これまでの研究により、本種が越冬前に耐寒性を上昇させて越冬していることが明らかとなっている。そこで、冬期の防除技術開発のため、本種の耐寒性が消失する条件を明らかにする。 - 12月に熊本県内のレンコン圃場周辺の水路から採集したスクミリンゴガイ(殻高7.5~17.5mm)は夏期の貝に比べて耐寒性が高く、0℃に5日間保管しても、80%以上の個体が生存する(既知情報)。
- 越冬個体の耐寒性は湛水(水中)条件で飼育すると、25℃で4日間、あるいは20℃で8日間で消失する(図1A)。15℃で飼育した場合、64日経過しても耐寒性は維持される(図1A)。
- 越冬個体を水中から取り出し、相対湿度100%の湿潤条件で保管すると、25℃で64日間経過しても耐寒性はほとんど消失しない(図1B)。
- 耐寒性消失に対する、エサの有無の影響は小さい(図1B)。
- 本種の耐寒性上昇に関与すると考えられている体内のグルコース、グリセロール濃度は、飼育期間に伴って変化し(図2)、グリセロール濃度は0℃5日間処理での生存率と正の有意な相関があったことから(Pearson's regression analysis,r=0.879,d.f.=4,P=0.021)、グリセロール濃度の減少が耐寒性消失に関与していると考えられる。
- スクミリンゴガイ防除技術開発のための基礎的知見となる。
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成果の内容・特徴 |
- 12月に熊本県内のレンコン圃場周辺の水路から採集したスクミリンゴガイ(殻高7.5~17.5mm)は夏期の貝に比べて耐寒性が高く、0℃に5日間保管しても、80%以上の個体が生存する(既知情報)。
- 越冬個体の耐寒性は湛水(水中)条件で飼育すると、25℃で4日間、あるいは20℃で8日間で消失する(図1A)。15℃で飼育した場合、64日経過しても耐寒性は維持される(図1A)。
- 越冬個体を水中から取り出し、相対湿度100%の湿潤条件で保管すると、25℃で64日間経過しても耐寒性はほとんど消失しない(図1B)。
- 耐寒性消失に対する、エサの有無の影響は小さい(図1B)。
- 本種の耐寒性上昇に関与すると考えられている体内のグルコース、グリセロール濃度は、飼育期間に伴って変化し(図2)、グリセロール濃度は0℃5日間処理での生存率と正の有意な相関があったことから(Pearson's regression analysis,r=0.879,d.f.=4,P=0.021)、グリセロール濃度の減少が耐寒性消失に関与していると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- スクミリンゴガイ防除技術開発のための基礎的知見となる。
- 成果の内容・特徴の1については、Wada T. and K. Matsukura(2007)Malacologia 49:383-392を参照。
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カテゴリ |
スクミリンゴガイ
耐寒性
防除
れんこん
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