冷屠体由来牛組織のガラス化保存と派生した培養細胞からの体細胞クローン牛生産への利用性

タイトル 冷屠体由来牛組織のガラス化保存と派生した培養細胞からの体細胞クローン牛生産への利用性
担当機関 大分畜試
研究課題名
研究期間 2000~2003
研究担当者
発行年度 2003
要約 屠殺後3~4日目の格付成績の判明した冷屠体から採取した組織をガラス化保存した後、組織片のまま培養し、増殖した細胞をドナー細胞とした核移植によって、体細胞クローン牛の生産が可能である。
キーワード 肉用牛、遺伝資源保存、体細胞クローン牛、ガラス化保存、ドナー体細胞
背景・ねらい 体細胞クローン技術の有効活用において、優れた経済形質あるいは多様な特性を持つ牛の細胞を遺伝資源として豊富に確保しておくことは将来、戦略的に重要な意義を持つ。そこで、枝肉格付成績の判明した屠殺後3~4日目の冷屠体からの組織採取とガラス化による簡易保存法について検討すると同時に、冷屠体組織由来培養細胞をドナー細胞としたクローン牛生産の可能性について明らかにし、効率的細胞収集保存法の確立に資する。
成果の内容・特徴
  1. 体細胞をプログラムフリーザー等の特殊な機器を使用せずに、簡易に低コストで、組織のまま保存する方法である。まず、採取組織を鋏でペースト状(約1mm角以下)になるまで細切し、リン酸緩衝液で洗浄、遠心後、ガラス化液(25%エチレングリコールと25%グリセロールを含むリン酸緩衝液)を加え組織片浮遊液とする。これを牛精液保存用ストローに収納し、液体窒素ガス中で冷却し、直ちに液体窒素中に投入し保存する。
  2. この保存法は、血清や酵素等の生物学的製剤をいっさい使用しないので、未知の病原体等に感染する機会を与えない。また、保存組織を加温後、細切組織のまま培養することによって初代培養細胞の供給を可能としたことを特徴とする。
  3. 屠殺後3~4日目の冷屠体から採取した腎臓組織のガラス化保存後の組織は、保存しなかった場合と同等に細胞の増殖がみられた(表1)。
  4. 屠殺直後の大動脈、咬筋および屠殺後4日目の冷屠体由来腎臓組織のガラス化保存後の培養細胞(図1-a.b)をドナー細胞として核移植を行なった場合、クローン胚の発生率に有意な差は認められない(表2)。また、ガラス化冷屠体腎臓組織由来細胞をドナー細胞としたクローン胚からクローン子牛生産が可能である(図2)。
  5. これまでに、県共進会最優秀牛のほかBMS.No、ロース芯面積、枝肉重量などに特徴のある黒毛和種約70頭の組織を保存している(Cattle
    Cell Bank)。
成果の活用面・留意点
  1. 多様で優れた経済形質を持つ肉用牛遺伝資源の簡易な収集保存法として活用できる。
  2. 組織細切片を良く洗浄することがカビ、細菌等の混入を防ぐポイントである。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010012727
カテゴリ 遺伝資源 低コスト 肉牛

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