小麦加工食品の使用品種表示の確認に利用できるSSRマーカー

タイトル 小麦加工食品の使用品種表示の確認に利用できるSSRマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2008
研究担当者 藤田由美子
福岡浩之
矢野 博
発行年度 2008
要約 小麦加工食品の使用品種表示の確認を目的として開発したSSRマーカー10組を利用して、小麦58品種(国内41、国外17)の遺伝子型カタログから、国内品種と国外品種を判別できる。国内品種間では26品種を判別し、15品種を5グループ化する。
キーワード コムギ、加工食品、品種判別、SSRマーカー
背景・ねらい 日本における小麦の年間消費量は約600万トンに及ぶが、自給率は14%程度に留まり、そのほとんどが輸入に依存している状況にある。しかし、国産小麦は消費者の地元産志向の高まりから需要が増加しており、各地で地域独自の品種が開発、利用されている。「さぬきの夢2000」のような地域特産小麦の「100%使用」表示のある商品が数多く流通していることから、食品表示の信頼性を確保するため、特定品種の使用を確認する技術が必要である。そこで、一般的な流通形態が加工食品である小麦の品種を判別するため、植物体だけではなく加工食品にも適用可能なSSR (Simple Sequence Repeat) マーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 10組のSSRマーカー(図1)はオオムギ、イネ、ダイズ、ソバ、トウモロコシのDNAでは増幅せず、小麦由来のDNAを検出する。
  2. これらのマーカーにより、少数の例外(増幅なし)を除き、1品種につき1つの増幅産物が得られる。その増幅長は小麦58品種(国内41、国外17)で143~317bpであるため、加工によって断片化した食品由来のDNAでも検出できる(表1)。
  3. PCR反応は、フォワードプライマーの5’末端に蛍光を付加したプライマー対を用い、図1に示すPCR反応液、反応サイクルで行う。増幅産物はキャピラリー型電気泳動装置3130xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems, 以下ABI)によって検出し、遺伝子解析ソフトウェアGeneMapper(ABI)を用いて解析する。
  4. 遺伝子型カタログから国内品種と国外品種を判別できる(表2)。国内品種間では26品種を個別に判別できる。残り15品種は5グループ化されることから、2~4品種で構成される各品種群とその他の品種を判別できる。
  5. 特定品種の100%使用表示がある市販の加工食品からDNAを抽出し供試すると、表示に合致した品種名を確認できる(図2の1と2、一例)。複数品種がブレンドされている場合は、複数の増幅産物が検出される(図2の3、一例)。
成果の活用面・留意点
  1. 上記のPCR反応試薬、機器以外を使用する場合は、反応条件の検討が必要である。
  2. 4bp以上の増幅長差を示す遺伝子型をもつ品種間では、蛍光プライマーを用いないアガロースゲル電気泳動法による判別も可能である。
  3. 2品種を混合して調製した模擬混入サンプルを用いた解析結果から、サンプルに含まれる他品種の混入比率が1割未満では検出されない場合がある。
  4. 遺伝子解析ソフトウェアによるデータの確認では、主ピークより低いピークが決まった位置に出現するため、そのことを考慮して判別を行う。
  5. 「農林61号」など育成年の古い品種では品種内多型が存在する可能性があるため、都道府県が所有する原種のパターンを調査する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010817
カテゴリ 大麦 加工 小麦 そば 大豆 とうもろこし 品種

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