タイトル |
パイプハウス地点における台風時の最大風速の推定法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
吉村亜希子
柴田昇平
福本昌人
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発行年度 |
2007 |
要約 |
台風時の数値予報データを用いて局所風況予測システムLAWEPSで風況シミュレーションを行うことにより、中山間地において台風時のパイプハウス地点における最大風速を概略的に推定することができる。
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キーワード |
パイプハウス、強風被害、風速、シミュレーション、LAWEPS
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背景・ねらい |
中山間地では地形起伏に起因して風速の面的分布に強い局地性が見られる。このためパイプハウスの強風被害調査においては、局地性を考慮した風速の推定が重要な課題となっている。そこで、台風0423号により多くのパイプハウスが被災した中山間地を対象地域(図1)として、局所風況予測システムLAWEPSを用いて同台風時のパイプハウス地点における風速を数値流体力学(CFD)に基づく風況シミュレーションにより推定し、その推定結果をパイプハウスの被害データを用いて評価する。
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成果の内容・特徴 |
- LAWEPSを用い、台風0423号時の数値予報データRMS-GPV(東アジア領域、20kmメッシュ)を入力値として、4段階のネスティング(広い領域を粗いメッシュで計算した結果を初期値・境界値として用いて、同領域内のさらに狭い領域を細かいメッシュで計算する手法)により、同データ時刻(1時間毎)における局所域スケール(2km四方領域、20mメッシュ)の風速分布を計算し(図2)、アメダス地点とパイプハウス地点(図1)における風速を求める。
- アメダス地点における最大推定風速(13時、14時、15時における風速のうちの最大値)は、アメダスが観測した最大風速(10分間平均風速の最大値)と一致し、また、推定風向もアメダスが観測した風向とほぼ一致している(図3)。
- パイプハウス地点における最大推定風速は、最大推定風速別に求めたパイプハウス(地中押し込み式、単棟)の被害率と良く対応している(図4)。
- 以上のことから、LAWEPSによりパイプハウス地点における台風時の最大風速を概略的に推定することができると判断される。
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成果の活用面・留意点 |
- LAWEPSによる最大風速の推定値は、パイプハウスの強風被害調査において、構造条件や立地条件等の被害要因の分析に活用できる。
- LAWEPSは、風力発電風車の立地選定のために新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により開発された。4~5次領域計算のシステム(工学モデル)は日本気象協会から5,000円で入手できる。1~2次領域計算のシステム(気象モデル)は非販品であるため、同計算は日本気象協会に外注する必要がある。
- LAWEPSは過去の台風時の風況を再現するものであり、例えば、台風の進路別に風況を予測するような将来予測には利用できない。
- 強風被害には最大風速より最大瞬間風速の方が密接に関係していると考えられるが、LAWEPSでは最大瞬間風速は推定できない。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010807 |
カテゴリ |
中山間地域
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