ショクガタマバエの飼育法の開発

タイトル ショクガタマバエの飼育法の開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2007
研究担当者 安部順一朗
熊倉裕史
発行年度 2007
要約 ショクガタマバエ個体群を飼育維持する方法として、ナス苗に寄生させたワタアブラムシを寄主とし、ナス苗から落下する終齢幼虫を水中に受けて保存し、72時間以内にまとめて回収してピートモス等の培地上で蛹化、羽化させる手順が簡易で効率的である。
キーワード ショクガタマバエ、飼育法、ワタアブラムシ、ナス
背景・ねらい ショクガタマバエAphidoletes aphidimyzaはアブラムシ類の捕食性天敵であり、わが国に広く分布し、幼虫が園芸作物の害虫となるすべてのアブラムシを捕食する。その特性から、日本在来の本種個体群を使ったアブラムシ類防除技術の開発が期待されているが、現在のところ国内産個体群の基礎生態や飼育に関する知見は少ない。そこで、本種の生活史特性を踏まえた簡易な飼育法を開発して、将来的な大量増殖技術の開発に資するものとする。
成果の内容・特徴
  1. ショクガタマバエの経代飼育において、成虫の交尾・産卵は、制御環境下(温度22.1±0.6℃、明期14時間/暗期10時間、相対湿度36.2±9.3%、以下の成果においても同じ)。に置いたケージ(20×30×35cm)にワタアブラムシを寄生させたナス苗を入れ、そこに成虫を放す操作のみで促すことができる。生まれた幼虫は終齢(3齢)に達すると蛹化のためにナス苗から落下するので、これを回収する。
  2. ショクガタマバエの成虫30頭(性比1:1)に交尾・産卵させた場合、蛹化のためにナス苗から落下する終齢幼虫の数は、成虫をケージに導入してから10日目前後に多い。成虫に交尾・産卵の機会を24時間与えた場合では、成虫導入後8~10日の間に回収可能幼虫数(平均111頭)の約8割が落下する。交尾・産卵の機会を48時間与えても回収効率は大幅には向上しない(図1)。
  3. 回収作業として、植物体から落下する終齢幼虫を水中で保存することが可能である。水中での保存時間が72時間以内であれば、羽化率は60%以上である(図2)。したがって回収作業として、終齢幼虫が植物体から落下し始めてから3日間は水中で保存し、まとめて回収すると効率的であり、飼育個体群に斉一性を持たせることができる
  4. 回収した終齢幼虫は培地上で蛹化させる。培地素材としては、脱脂綿、川砂、ピートモスで羽化率が高く(70%以上)、蛹化に適しているが、パーライトは適さない(図3)。
  5. 図4に示す手順でショクガタマバエを簡易に飼育維持できる。1サイクル(約24日)の操作で30~40頭の成虫を定期的に得ることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究に供したショクガタマバエは2005年8月25日に京都府南丹市で採集した個体群であり、ワタアブラムシは2006年4月11日に京都府綾部市で採集した個体群である。
  2. 産卵用のアブラムシの個体数、導入するショクガタマバエ成虫数、水中での幼虫の保存期間、回収する幼虫数を調節することで、より多くの飼育個体数を増殖・維持することができる。
  3. ショクガタマバエはナス苗とワタアブラムシ以外の組み合わせ(エンバクとムギクビレアブラムシなど)によっても飼育できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010796
カテゴリ 害虫 なす 防除 わた

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