魚眼レンズ装着デジタルカメラによるカンキツの樹冠葉面積の計測法

タイトル 魚眼レンズ装着デジタルカメラによるカンキツの樹冠葉面積の計測法
担当機関 山口大
研究課題名
研究期間 2003~2007
研究担当者 山本晴彦
岩谷潔
発行年度 2006
要約 カンキツ樹体形状を単純な図形に当てはめることにより、樹高、4方位の樹冠半径、魚眼レンズ装着 デジタルカメラによる4方位での樹冠全天画像から得られる開空度から、樹冠容積、葉面積密度、樹冠葉面積を 迅速かつ高精度に推定する手法を開発した。
キーワード カンキツ、魚眼レンズ、樹冠葉面積、全天画像、葉面積密度
背景・ねらい カンキツの連年安定生産を実現する上で、越年旧葉の残存量や新葉の展開量を樹冠葉面積として把握し 樹勢診断に活用することが重要である。現状の実測による葉面積診断は樹体総葉数の計測が必要であり、多大な 時間と労力を要する。そこで、前年度成果であるプラントキャノピ―アナライザーによる樹冠葉面積計測法の結果を 踏まえ、より低コストな魚眼レンズ装着カメラを用い、樹体の開空度測定により樹冠葉面積を迅速に計測する手法を 開発する。
成果の内容・特徴
  1. 魚眼レンズによる撮影は、樹体の4方位(例:北西、北東、南東、南西)方向について、主幹から30cm 離れた樹冠下部地点においてレンズを鉛直上向きにした状態で樹冠全天画像を撮影する。さらに、撮影時の 樹高と4方位の樹冠半径を測定する。
  2. 樹体の形状を樹高および4方位の平均樹冠半径を径とし、樹高方向を軸とする上に凸の回転半楕円体として 樹冠容積を計算する。また、主幹からの距離が既知(30cm)の撮影地点について各天頂角の光路長 (樹体内を透過光が通過する距離)を算出する(図1)。天頂角は プラントキャノピ―アナライザーとほぼ同様(7,22,38,52°)とする。
  3. 画像はパーソナルコンピュータ(PC)へ転送し、フリーウェアの画像解析ソフトウェアLIA32 (名古屋大学山本一清氏のホームページよりダウンロード可能)により、全天画像のうち樹体中心部に向かい 中心角90°の扇形部分の開空度を天頂角ごとに算出する(図2)。 表計算ソフトを用いて2.で算出する光路長を適用し式1より葉面積密度を 算出する。得られる葉面積密度は実測値を過小評価するが高い相関(r=0.793)を示す (図3)。回帰分析による検量線を用いて求めた補正葉面積密度は、 交差検定による重相関係数R=0.753、予測標準誤差SEP=0.790m2-3となり高精度での 推定が可能である。
  4. 補正葉面積密度と樹冠容積の積が樹冠葉面積の予測値となる。得られる予測値は130m2以上で 飽和するものの、R=0.947、SEP=14.0m2と高精度での推定が可能である (図4)。
  5. 本手法による1樹当たりの測定時間は実施者1名で数分程度であり、その後のPCによる解析時間と併せても、 数名で数時間を要する従来の実測法に比して非常に効率的である。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法に必要なコストは、魚眼レンズ装着デジタルカメラと解析用PCを併せても30万円以下であり、 プラントキャノピーアナライザー本体価格の1/5以下で可能である。
  2. 魚眼レンズには全方位について180°の画角を持つ全周魚眼レンズを使用する。撮影は晴天曇天どちらでも 可能であるが、晴天時は露出制御の不安定化や画像センサーの破損を避けるため太陽が直接写り込まない様 注意する必要がある。
  3. 撮影時には、地上部雑草等の画像への写り込みを防ぐために事前に除草を行うかパネル等で地面を覆い、 また、レンズに近接する葉は避けることで測定誤差を軽減する。
  4. 樹体間の境界が判別できないほど近接している場合、また撮影画像上で判別できるほど果実肥大が進んだ 樹体については本手法による測定値は過大評価となると考えられる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010010602
カテゴリ コスト 雑草 除草 低コスト その他のかんきつ

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